「やる気がないなら止めるけど」
「ああ、ごめん」
オレは今メチャクチャ悩んでる。
もうすぐ塔矢の誕生日。
今年は指輪をプレゼントして告白しようと決意したんだけど…。
どんな指輪が良いんだ?
それよりも塔矢の指のサイズっどれぐらいなんだ?
聞けるわけないから、最近は打ってる時に塔矢の薬指ばっかり見てて、さっきみたいに怒られるわけ。
(塔矢にはシンプルな指輪が良いよな)
雑誌を見たりお店行ってみたり、そしたら誕生石を薦められて、誕生石ってなんだ?と思って調べて、悩んで…悩んで……。
悩むこと1ヶ月、何とか塔矢にプレゼントする指輪を決めた。
そして当日。
指輪を差し出して…
「オレと結婚してください」
「ふざけるな〜〜〜〜」
オレの一世一代の告白に、塔矢の怒鳴り声が響く。
あ〜失敗した。
振られた〜。
終わった…オレ…。
「…順番が違う」
「え?」
「だから順番が違う…」
…順番って何 ?
よく見たら塔矢の目がウルウルしてない?
「まだ告白されてない…」
………………
……………
…………
………
……
あ〜〜〜。
やってしまったっっっ!!!
緊張し過ぎて、好きです。付き合ってくださいっていうつもりが、すっ飛ばして、結婚してくださいに言ってしまった。
(オレのバカッ!!ドジッ!)
…………
こうなったら、もう1度仕切り直しだ。
「好きです!オレと付き合ってください!」
「………はい」
ヤッターーーーッッッ!!
ちょっとドジッだけどオレの苦労が報われたよ。
その日は嬉しすぎて寝れなかった。
●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●
塔矢への告白が成功した翌日、棋院が大騒ぎになった。
塔矢が指輪を付けてるって…。
付けてくれるなんて思ってなかったからオレも嬉しい。
ていうか、サイズピッタリだったんだ。
奇跡だ!
凄いぞ!オレ。
とルンルンなオレとは逆に塔矢機嫌が悪いみたいだ。
指輪気に入ってるから付けてくれてるんだよな?
何で機嫌が悪いんだ?
その理由はすぐ解かった。
「皆、僕を何だと思ってるんだ!ただの囲碁バカでアクセサリーなんかには興味がないと」
うん、多分皆そう思ってる。
実はオレもそう思ってたんだよな。
「ごめん。オレもそう思ってた」
「………っっっ!!!」
正直に言ったら、うわ〜思い切り睨んでくるよ。
これは怒ってるな…?
「よくそれで指輪をプレゼントしようと思ったね」
「いや〜もう何か…当たって砕けろの覚悟だったんだよ」
「良かったね…砕けなくて」
拗ねてる塔矢も可愛いかも…////
〜オマケ〜
2025年12月。
「結婚指輪とか他の指輪付けたら?」
18才の誕生日に指輪をプレゼントしてから、毎年アキラの誕生日にはアクセサリーをプレゼントしてるんだけど、最初の誕生日にプレゼントした指輪をよく付けてくれる。
「これが良いんだ」
結婚指輪より気に入ってるらしいけど、ちゃんと給料3ヶ月分…じゃなくて年収をから3ヶ月を計算して買ったやつが1番のお気に入りにならなかったのはちょっと複雑。
(まあ、結婚指輪も婚約指輪も、今まで送ったプレゼントは大事にしてくれてるから嬉しいけどな)
今年のプレゼントも笑顔で受け取ってくれたけど、気に入ってくれてると良いな。