NIGHTMARE 01
(アキラサイド)

「別れよう」
「えっ?」

ヒカルから突然言われた言葉が理解出来ない。
認めたくて頭が言葉を理解することを

「急にどうして?」

「デートって言っても、碁、碁、碁で付き合ってる意味ないじゃん」
「………」
「たまには、オレだって恋人らしいことしたいんだよな」

えっ?僕と打ってる時の進藤は楽しそうだから、これで良いんだと思ってたのに違ったのか。

「そんな素振り全く見せなかったじゃないか」
「打ちたくないって言ったら、お前怒るだろ。だから我慢してたんだよ」

そんな…。
それなら言ってくれくれれば僕だって…。

「そういうことだから…じゃあな」

あっ……。

「ま待って…進藤」

僕が呼び止めてもヒカルはそのまま去っていった。
そこに藤崎さんが現れた。

「ヒカルッ!」
「あかり、待ったか」
「全然♪」

進藤は藤崎さんと楽しそうに、腕を組んで行ってしまった。

ショックが大きかった僕は、身体の力が抜けて目の前が真っ暗になった……。






「あっ………………」

次に気づいたら、僕は自分のベッドにいた。

…………………
………………
……………
…………
………
……

…もしかして…今のは夢?

……良かった…。

今日は大事な対局があるのに、朝から目覚めが悪い…。

それもこれも、進藤と藤崎さんが一緒に居る所を見たり、市河さんが余計なことを言ったから…こんは夢を見たんだと思う。
進藤と藤崎さんが一緒に居る所を見たのと、市河さんに余計なことを言われたのは同じ日だったし…。





「……………あかり。………なんで、お前がここに居るんだよ?」
「おばさんが、これ届けろって言われたから」
「だからって、ここ(棋院)に来ることないだろっ!塔矢に見られたらどうするんだよ」
「私だって嫌だよ…塔矢さんに睨まれるなんて」
「なら、来るなよ!」
「しょうがないじゃない。おばさんが「ヒカルの様子見てきて欲しい」って頼みに来るから」
「断れよ」
「無理だよ。あんなに必死に頼まれたら…。そもそもヒカルが実家に顔出さないのが悪いんでしょ」
「塔矢を喜ばせるので忙しい」
「惚気はいいよ…」

何を話してるのかは聞こえなかったけど、進藤と藤崎さん楽しそうに話してたな…。

少しイライラした気持ちのまま、次の対局に向けて検討でもしようと、碁会所に行ったら、今度は市河さんが…。

「アキラくん、念願叶って進藤君と付き合うことになったんだから、たまにはお洒落して映画とか食事とか…そういうのもしてみたら?」

僕は進藤と打てるだけで幸せだ。

「碁ばかりじゃ愛想尽かされちゃうわよ。全然進んでないでしよ」
「……………」

進んでない…って何が?って思ったけど、意味が解ると僕の顔は真っ赤になったと思う。

「よ余計なお世話です」

その時は、そう言って検討に集中したけど……。

……………………
…………………
………………
……………
…………
………
……



あんな夢を見た後だからか、何だか不安になってくる。

仲良く話す2人の姿が頭がから離れない。

藤崎さんが棋院の前で、ヒカルに持ってたのは手料理だよね…。
藤崎さん料理とか上手そう。
僕より上手そう。
僕より可愛いし…服の好みもヒカルが喜びそう。
それに比べて、僕はお洒落には興味ないし、そういうことも今すぐしたいと思わないし。
そんなことをしてる暇があったら、進藤と打ちたいと思う。

……やっぱり、それだけだと、いつか愛想尽かされる?

……………………
…………………
………………
……………
…………
………
……

…そしたら進藤に別れようって言われる?

……………………
…………………
………………
……………
…………
………
……

…そんなの絶対嫌だっっっ!!
なんとしても進藤を繋ぎ止めてやる!

NEXT




Page Top