「えっ?」
ヒカルから突然言われた言葉が理解出来ない。
認めたくて頭が言葉を理解することを
「急にどうして?」
「デートって言っても、碁、碁、碁で付き合ってる意味ないじゃん」
「………」
「たまには、オレだって恋人らしいことしたいんだよな」
えっ?僕と打ってる時の進藤は楽しそうだから、これで良いんだと思ってたのに違ったのか。
「そんな素振り全く見せなかったじゃないか」
「打ちたくないって言ったら、お前怒るだろ。だから我慢してたんだよ」
そんな…。
それなら言ってくれくれれば僕だって…。
「そういうことだから…じゃあな」
あっ……。
「ま待って…進藤」
僕が呼び止めてもヒカルはそのまま去っていった。
そこに藤崎さんが現れた。
「ヒカルッ!」
「あかり、待ったか」
「全然♪」
進藤は藤崎さんと楽しそうに、腕を組んで行ってしまった。
ショックが大きかった僕は、身体の力が抜けて目の前が真っ暗になった……。
「あっ………………」
次に気づいたら、僕は自分のベッドにいた。
…………………
………………
……………
…………
………
……
…もしかして…今のは夢?
……良かった…。
今日は大事な対局があるのに、朝から目覚めが悪い…。
それもこれも、進藤と藤崎さんが一緒に居る所を見たり、市河さんが余計なことを言ったから…こんは夢を見たんだと思う。
進藤と藤崎さんが一緒に居る所を見たのと、市河さんに余計なことを言われたのは同じ日だったし…。
「……………あかり。………なんで、お前がここに居るんだよ?」
「おばさんが、これ届けろって言われたから」
「だからって、ここ(棋院)に来ることないだろっ!塔矢に見られたらどうするんだよ」
「私だって嫌だよ…塔矢さんに睨まれるなんて」
「なら、来るなよ!」
「しょうがないじゃない。おばさんが「ヒカルの様子見てきて欲しい」って頼みに来るから」
「断れよ」
「無理だよ。あんなに必死に頼まれたら…。そもそもヒカルが実家に顔出さないのが悪いんでしょ」
「塔矢を喜ばせるので忙しい」
「惚気はいいよ…」
何を話してるのかは聞こえなかったけど、進藤と藤崎さん楽しそうに話してたな…。
少しイライラした気持ちのまま、次の対局に向けて検討でもしようと、碁会所に行ったら、今度は市河さんが…。
「アキラくん、念願叶って進藤君と付き合うことになったんだから、たまにはお洒落して映画とか食事とか…そういうのもしてみたら?」
僕は進藤と打てるだけで幸せだ。
「碁ばかりじゃ愛想尽かされちゃうわよ。全然進んでないでしよ」
「……………」
進んでない…って何が?って思ったけど、意味が解ると僕の顔は真っ赤になったと思う。
「よ余計なお世話です」
その時は、そう言って検討に集中したけど……。
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…………………
………………
……………
…………
………
……
あんな夢を見た後だからか、何だか不安になってくる。
仲良く話す2人の姿が頭がから離れない。
藤崎さんが棋院の前で、ヒカルに持ってたのは手料理だよね…。
藤崎さん料理とか上手そう。
僕より上手そう。
僕より可愛いし…服の好みもヒカルが喜びそう。
それに比べて、僕はお洒落には興味ないし、そういうことも今すぐしたいと思わないし。
そんなことをしてる暇があったら、進藤と打ちたいと思う。
……やっぱり、それだけだと、いつか愛想尽かされる?
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……
…そしたら進藤に別れようって言われる?
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……
…そんなの絶対嫌だっっっ!!
なんとしても進藤を繋ぎ止めてやる!