FORGIVENSS 01
(ヒカルサイド)

「はああああ~~許嫁?なんだよ…それ」

18になった年の12月。
じーちゃんに呼び出だされたオレは「また碁の相手されられるんだろうな。いい加減、素直に置き石おけよな」と思いながら、家に行って佐為に挨拶を済ませた後、ビックリなことを聞かされたんだ。

「親友の孫が女の子と聞いた時に、2人で決めたんじゃ」

オレに許嫁?冗談たろ?ただのサラリーマン家庭だぞ。

「オレ、許嫁なんてゴメンだぜ。てか彼女いるし」
「どうせ、チャラチャラした彼女だろ。別れろ…別れろ」

なに勝手に決めてんだ。
オレの彼女は、あの塔矢アキラなんだぞ。
ライバルと認めてもらうのも苦労したけど、付き合うまでには、もっと大変だったんだそ。
こんなバカな理由で、アキラと別れるなんて絶対嫌だ!
…つーか、何があっても別れないぜ!

「とにかく今度の日曜日、空けておけよ。休みだじゃろ」

なんで、じーちゃんがオレのスケジュール知ってるんだよ。

(その日はアキラも休みだから、2人でデートしよって約束してるのに…)

オレ達の休みが重なるなんて、滅多になにんだぞ。

何とか断る方法はないかと必死に考えたんだけど、じーちゃんを説得出来るような手はなくて、日曜日が来てしまった…。

(本当ならアキラとデートしてる筈なだったのに…)

なんで、こんなところにいるんだよ…オレは!

そういやデートキャンセルで絶対怒られると思っていたら、アキラも急用が出来たとか言って怒られずに済んだんだっけ。






「お~~い…進藤いるか?」

せっかくアキラとデート出来る貴重な日を潰さらて不貞腐れてると、玄関から声がした。

「おお…来たか。行くぞ、ヒカル」

じーちゃんに引っ張られて玄関にいくと、信じられない人が立っていた。

「ヒカル?」
「アア…アキラ?なんでここに?」

「許嫁の家に行くって、お祖父様に連れてこられんだけど…」

もしかして、オレの許嫁って、アキラなの?

「もしかして、進藤ヒカル君かね?」
「塔矢アキラさん?」

じーちゃん達の聞かれて、頷くオレとアキラ。

すると、それから少しの沈黙の後…

「なに~~~~っっ!!」

…じーちゃん達の叫び声が響いた。






じーちゃん達が落ち着いた後、オレ達が付き合ってるのとを、じーちゃん達に話した。

「そうか…そうか…。2人は付き合っていたのか。アキラ…何故言わなかった?」
「話す機会なんてなかったじゃないですか」

アキラ…もしかして期限悪い?
まあ、デートが潰れたんだもんな…気持ちは解るぞ。

「ははは…悪かった。そういえば、明子が「囲碁第1主義なアキラさんに着いていける男性が現れたの」って、ウキウキしながら連絡くれたことがあったが、まさか進藤君のことだったとは…」

明子ってことは、明子さんの方のじーちゃんなのか。
なんか明子さんと感じが似てるかな?

「おいっ!賀茂…塔矢さんが孫だなんて聞いてないぞ」
「お前こそ、進藤君が孫だと何故言わなかった?」
「名字で気付けっ!」
「無理だ!お前から進藤君は想像出来ん」
「何だと~」
「まあ、それはともかく…こんなチャンス滅多にないからな…」

沸騰してるじーちゃんをする無視して、アキラのじーちゃんはオレに笑顔を向けた。

えっ?何?
オレ、なんか言われるの?

「サインもらえるかな」

えっ?サイン…。
何を言われるかドキドキしてたのに、サインかよ~。
緊張して損した。

「あっ、はい」

アキラのじーちゃんに手渡された色紙にサインする。
…なんか、いつも以上に緊張するな。
後でアキラに教えてもらったんだけど、アキラのじーちゃんはオレのファンらしい。
マジ?!

「来期こそ、本因坊獲ってくれるのを楽しみにしてますよ」
「フン、ヒカルに本因坊なんぞ、まだまだ早いわ」
「なにを言う。今期も惜しい所まで行ったんだぞ。孫の活躍を素直に喜ばんか」
「フン!」

挑戦手合の最終局で負けたからな…。
来年こそは絶対獲る!
てか、じーちゃん…普段はメチャクチャ応援してくれるのに、なんで今日に限ってああな訳?

じーちゃん達の言い争いは、この後も続いたんだけど、最後には子供の頃の恥ずかしい話合戦になって、なかなか面白かったな。






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「まあまあまあ、お父様が話してたアキラさんの許嫁って、ヒカルさんだったの。心配して損したわ」

アキラの家に行って許嫁がオレ達だったことを話すと、明子さんは、とても喜んでくれた。

「相手がヒカルさんと判ってたら、アキラさんに飛びっきりのお洒落をさせたのに…残念だわ」

今日は断るつもりだったから、嫌われるようにと仕事用のスーツにしたらしい。
アキラの着物姿見たかったな…。
ちょっと落ち込む。

「来年のお正月には、アキラさんの振袖姿見せてあげるから楽しみにしてて♪」
「はいっ!」

来年の正月楽しみだなぁ……って、おいっ!なんだよアキラ、その嫌そうな顔は…。



あっ、そうそう…更にその後の話なんだけど、アキラのじーちゃんに呼ばれることが多くなって、アキラと打つ時間が減って、アキラがキレたりするんだよな…。

「ヤキモキを焼くアキラが見れるとは…。これからも進藤君を呼ぼうかのぅ」

って、アキラのじーちゃんは楽しそうだった。
けど…。

(あとの八つ当たりが怖いから、止めてくれ…)

って思ったオレだった…。


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「ナンデショウ…コレハ(^_^;)…次はアキラ視点です。

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