女王様を手に入れろ! 92
(明美サイド)

「あ~~も~~嫌だ~~」

ズバーンッ!!

加賀が私の頭を丸めた教科書で殴った。

「い痛~~い……」
「五月蝿いっ!黙ってやれ!」
「ってか、なんでアンタが私の勉強見てるのよ」
「知るか…オレが知りたいわ…」

恵の面倒で手一杯らしい兄貴の命令で、加賀が私の勉強を見ることになったんだけど…三谷もいるのに、なんで加賀な訳。

(私、この間の手合いコイツと当たって悔しい負け方したばっかりなのに……)

まだコイツの顔を見ると悔しい気持ちになるのに、なんで2人きりで勉強しなきゃいけないのよ。
碁を打つなら大歓迎だけど。
そもそも…。

「兄貴に言われたからって、なんでホイホイ従う訳?」
「光明先輩にお願いされて、断れる奴は海王小出身者にはいない!」
「あっ、そう」

兄貴…どんな小学校生活送ってたの?

(パパ似の顔とママ譲りの営業スマイルで落としてたとか?…あり得る…)

普通に想像出来るから怖いわ。

「そんなことより、さっさと進めろ!アキラ先生にも高校に行けって言われただろ」

(………)



「高校に行かずに棋士に専念する!」

…って離したら、皆に反対された。
なんで?
パパやママは行かなかったから、反対されないと思ってなのに。
どうして私は行かないといけないのよ。
どうして、棋士1本じゃダメなの!

「勉強はともかく、オレも高校行っとけば良かったな…と思うこともあるから、行って損はないと思うぞ」

私と同じく勉強が大の苦手な筈のパパにまで、高校進学を進められてしまって、正直ショックだった。

(パパなら「行かなくて良い」って言ってくれると思ったのに…)

パパ達の時と違って、今は高と棋士を両立してる人が殆どだから余計に反対されるのかな。

(それにしても…問題がサッパリ解らない)

あ~~なんとかして、この勉強地獄から抜けしたい!
私は逃亡を試みた。

「私のことは良いから、自分の勉強したら?」
「オレは大丈夫だ」

あ~あ、あっさり否定されて逃亡失敗…。
悔しいけど、加賀は碁も勉強も成績良いからね。
ムカつく事実。

「お前の勉強見たら、光明先輩とアキラ先生、それに塔矢先生まで打ってくれるっていうからさ」

楽しみだな~と、心底嬉しそうに話す加賀。

はあああ~!
なんですとっ!
兄貴やママが加賀を釣るために約束してるのは解るけど、おじいちゃんまで加賀にそんな約束してるなんて。
おじいちゃんまで、私を高校に行かせたいの?

はあああ~~~。

いつまで続くのこの勉強地獄。

勉強地獄は勉強地獄でも、碁の勉強地獄の方が良いよ~~。


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