女王様を手に入れろ! 91
(鉄宏サイド)

アキラ先生の厳しい指導の下、オレのプロ棋士人生は今の所勝率もよく順風満帆だ。

「加賀、これから打つよ」

コイツ…進藤明美の襲撃を除けばな。

いや、誤解するなよ、
コイツと打つのは楽しいよ。
だけどな、後で「テストが~~」ってオレ達を巻き込んで大騒ぎになるんだよ。
藤ノ宮をちょっと見習えよな!
「光明君の後輩になるんだっ!」って頑張ってるだろ。
まあ、アイツの動機はちょっとアレは気もするが。

「お前、オレと打つより勉強しろよ。この前のテストも散々だったろ」
「……」
「また赤点取って、アキラ先生の雷落ちても知らないぞ」
「うっ……」

アキラ先生怖いもんな。
ちなみに、ヒカル先生は勉強関係はノータッチらしい。
ヒカル先生の学生時代の成績は散々だったみたいで、たまたま中学時代の答案を見たアキラ先生が呆然した後、いつものように怒鳴ったとか。

「海王高に行けたら思う存分打ってやるよ」
「…解ったわよ」

渋々退散して行く進藤。

は~~あ。
これも棋院名物になってるらしくてさ…。

「昔の進藤君と塔矢さんを見てる見たいで懐かしい」
「顔は塔矢さんで中身が進藤君だからさ…なんか面白い」

昔のアキラ先生やヒカル先生を知る皆さんに、色々噂されている。
…勘弁してくれよ…。





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「すいません、スケジュールの確認に来ました」

これからのスケジュール確認に事務に寄ったら、お袋に対応されてしまった。

お袋が棋院で働いてるってのは、毎日が授業参観な感じて…正直こっちも勘弁して欲しい。
お袋は楽しそうで、全く止めそうにないけど。
進藤とのやり取りも目撃されて、その度家で注意されたりさ。

「師匠の娘さんだから忘れないように」

そんなこと言われなくても解ってるよ。
アイツが突っかかってくるだけだろ。

「あんたは父さんそっくりだから心配になるんじゃないの」
「はああああ」

心配って…まさか……オレとアイツが、さ………。

ないないっっ!!

オレ達まだ中学生だし、そもそもアイツがオレをライバルだと思ってるだけでだけだろ。
オレもライバルだと思ってるけど。

「周りはそう思ってないかもよ。明美ちゃんの両親とソックリらしいじゃない」

更なる姉貴のお言葉。

だ・か・ら!ありえないって!

そういえば……。

「明美のことはお前に任せた」

光明先輩も最近そんなことを言われたっけ?

「僕は恵の面倒で手一杯だから、勉強やその他も宜しく」

おおいっ!
オレにアイツの勉強の面倒を見ろなんてっ!?
冗談だろ!
あと…その他ってなんだよ。

「加賀さんも「筒井と?ないない…絶対ないっ!」って言ってたんだよね~」

あかりおばさんが言ってたとか藤ノ宮に聞いて、オレは呆然としてしまった。

勘弁してくれっ!

オレにだって選ぶ権利はある!

あっ…いや…進藤が嫌いな訳じゃないぜ。
アキラ先生にソックリで可愛いし。

でもな!
ライバルな関係はこれからも続くだろうけど、オレと進藤がそういう関係になるなんて、絶対あり得ないからな!


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