アキラ先生の厳しい指導の下、オレのプロ棋士人生は今の所勝率もよく順風満帆だ。
「加賀、これから打つよ」
コイツ…進藤明美の襲撃を除けばな。
いや、誤解するなよ、
コイツと打つのは楽しいよ。
だけどな、後で「テストが~~」ってオレ達を巻き込んで大騒ぎになるんだよ。
藤ノ宮をちょっと見習えよな!
「光明君の後輩になるんだっ!」って頑張ってるだろ。
まあ、アイツの動機はちょっとアレは気もするが。
「お前、オレと打つより勉強しろよ。この前のテストも散々だったろ」
「……」
「また赤点取って、アキラ先生の雷落ちても知らないぞ」
「うっ……」
アキラ先生怖いもんな。
ちなみに、ヒカル先生は勉強関係はノータッチらしい。
ヒカル先生の学生時代の成績は散々だったみたいで、たまたま中学時代の答案を見たアキラ先生が呆然した後、いつものように怒鳴ったとか。
「海王高に行けたら思う存分打ってやるよ」
「…解ったわよ」
渋々退散して行く進藤。
は~~あ。
これも棋院名物になってるらしくてさ…。
「昔の進藤君と塔矢さんを見てる見たいで懐かしい」
「顔は塔矢さんで中身が進藤君だからさ…なんか面白い」
昔のアキラ先生やヒカル先生を知る皆さんに、色々噂されている。
…勘弁してくれよ…。
●〇●〇●〇 ●〇●〇●〇●〇
「すいません、スケジュールの確認に来ました」
これからのスケジュール確認に事務に寄ったら、お袋に対応されてしまった。
お袋が棋院で働いてるってのは、毎日が授業参観な感じて…正直こっちも勘弁して欲しい。
お袋は楽しそうで、全く止めそうにないけど。
進藤とのやり取りも目撃されて、その度家で注意されたりさ。
「師匠の娘さんだから忘れないように」
そんなこと言われなくても解ってるよ。
アイツが突っかかってくるだけだろ。
「あんたは父さんそっくりだから心配になるんじゃないの」
「はああああ」
心配って…まさか……オレとアイツが、さ………。
ないないっっ!!
オレ達まだ中学生だし、そもそもアイツがオレをライバルだと思ってるだけでだけだろ。
オレもライバルだと思ってるけど。
「周りはそう思ってないかもよ。明美ちゃんの両親とソックリらしいじゃない」
更なる姉貴のお言葉。
だ・か・ら!ありえないって!
そういえば……。
「明美のことはお前に任せた」
光明先輩も最近そんなことを言われたっけ?
「僕は恵の面倒で手一杯だから、勉強やその他も宜しく」
おおいっ!
オレにアイツの勉強の面倒を見ろなんてっ!?
冗談だろ!
あと…その他ってなんだよ。
「加賀さんも「筒井と?ないない…絶対ないっ!」って言ってたんだよね~」
あかりおばさんが言ってたとか藤ノ宮に聞いて、オレは呆然としてしまった。
勘弁してくれっ!
オレにだって選ぶ権利はある!
あっ…いや…進藤が嫌いな訳じゃないぜ。
アキラ先生にソックリで可愛いし。
でもな!
ライバルな関係はこれからも続くだろうけど、オレと進藤がそういう関係になるなんて、絶対あり得ないからな!