女王様を手に入れろ! 81
(光明サイド)

女流枠のプロ試験に向けて、僕の休みは、恵と共にデートを兼ねた碁会所通いをしている。
碁会所は専ら河合さん達が通う所だ。

「アキラ先生の碁会所に行ってみたいな」
「ダメだ」
「どうして?」
「ダメなものはダメだ」

市河さんが煩いから。
芦原さんと結婚して子供もいるのに、僕達兄妹の恋愛話に興味津々って顔で、色々聞いてくるから困るんだ。
恵を連れていったら対局をどころじゃなくなりそうだから、絶対連れていかない。




特大のハンバーグセットに満面の笑みを浮かべている恵。

「いただきま~す」
「……………」

もうすぐ始まるプロ試験の景気付けに、今日のデートは碁会所→映画→食事にしたんだけど…そんなデカイハンバーグ良く食べるよな。

「よく食べれるな…そんなデカイの」
「腹か減ってると戦は出来ないっ…て言うでしょ」

戦って…プロ試験だろ。
しかも始まるのは明日じゃなくて、まだ先だし。

「チョコレートパフェくださ~い」

まだ食べるのかよ。

「シメはデザートだよね~」
「……太っても知らないぞ」
「大丈夫だもん!頭使ったから甘いものが食べたいの」

大丈夫とか言ってるけど、後で「太った」って泣くと思う。
僕は知らないからな。





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自分の部屋で宿題をしていると、下のリビングから煩い声が聞こえてくる。

「兄貴、恵がモテるってこと気付いてないんだよね~」
「進藤先輩は普段レベルの高い人に囲まれてるから、藤ノ宮がどんだけ可愛くて美人か気付いてないんだよ」
「まあ、ヒカル先生やアキラさんに比べたらフツーだもんな」

おいっ!三谷、サラッと酷いこと言ってないか。
加賀も明美も、僕が何に気付いてないって?

「案外、恵がプロ試験に受かって囲碁関係者の男どもにモテ始めたら、慌てて「プロになる」って言い出したりして」

あいつら言いたい放題言ってくれるな!
明美!僕がそんなバカな理由でプロになるか!
そんなこと言ってないで勉強しろ!


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