女王様を手に入れろ! 80
(恵サイド)

プロ試験最終戦。
私は綾野香さんと対戦した。

「………」

コウに粘り負けてヨセも読み間違えて、6目半負けてしまった。
コウ入るまでは、私の方が少し優勢だっただけに悔しい。
これで、私の合格は絶望的。

(目算がまだまだだよね…)

光明君にも言われたんだけど…。

「目算というか…計算…暗算特訓した方か良いんじゃないのか」

……って、目算がまだ甘くなる時があるんだよね。

「やっぱり、あなたのような人がアキラ先生の弟子なんて可笑しいわね」

…………悔しい……っっっ!!

碁の内容の悔しさと手伝って、綾野さんの言葉に凄く腹が立つ!

綾野さんだって2敗してるじゃない。勝負の世界だから2敗と3敗じゃ全然違うけど……1敗差でアキラ先生の弟子なことを否定されたくない。
それに、光明はイヤイヤ私の相手をしてる訳じゃないんだから!
私達、付き合ってるし。

「次に対戦する時は絶対、綾野さんに勝ってプロになるんだからっ!」

私がアキラ先生の弟子なことを認めてもらうんだから!
それに、今は光明君が、OK出てないけど、いつか私が光明君の彼女だってカミングアウトして、ビックリさせてやる!





●〇●〇●〇 ●〇●〇●〇●〇





「そこまで言いきるなんて、お前も強気になってきたのかもな」

光明君に言われるとなんか照れて真っ赤になっちゃう。

「女流のプロ試験楽しみだな」
「えっ?………」
「えっ?…って、もしかして、お前…女流枠のこと知らないとか?」
「うっ………」

光明君が深い溜め息を付いているのを見ながら、小さくなる私。

「母さんも明美も一般で受かってるから、知らないのもしょうがないかもしれないけどさ…でも碁を初めてプロを目指して何年だよ」

ごもっとも…言葉も出ません。
そうか…女流枠があるだ…。

「どうする?女流のプロ試験受けるか」

てっきり来年までチャンスはないと思ってたからビックリしたけど、チャンスがあるなら受けたい!

「じゃあ、暗算と目算とコウとヨセの特訓だな」
「うんっ!」

たぶん女流のプロ試験なら綾野さんも出てくると思うけど、今度こそ負けない!


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