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女王様を手に入れろ! 78
(恵サイド)

光明君がバイトしてるお店で、加賀君と三谷君とティータイム中。
対局後は、糖分が欲しくなるのよね…。
でも、私はケーキよりも、今日あった出来事のせいで落ち込み中なんです。
ちなみに、光明は出前中。

「~~~~~~」

あっ、プロ試験本戦1回戦勝ったよ。

「あれぐらいで押されてどうすんだよ」

三谷君がケーキをパクつきながら言う。

「勢いに圧倒されちゃって…」

対局が終わった後、突然院生の女子に声をかけられたんだけど…。

『進藤君が貴女の面倒見てるのは、アキラ先生の弟子をだからよ。それにアキラ先生が貴女を弟子にしたのはヒカル先生スポンサーに気を遣ってのことよ。そうじゃなかったら貴女のなんて、進藤君に近付けるわけないんだから!!アナタには負けない!』

いきなり捲し立てる感じて話して、ライバル宣言?して去って行った。
私は、訳が解らなくてポカンなってて、彼女が去った後、身体の力が抜けてその場に座り込んでしまった。
あ~~~凄い迫力で…ビックリしたよ……。

「言いたい奴には言わせとけ!勝手に想像して思い込んでるだけだ」

確かに加賀君の言う通りなんだけど、光明君の回りにそう見られてると思うと、なんか切ないな…。
始まりは押し掛けだけど、その後は全然違うんだけど、光明君ファンにはそう思われてるのかな。

「お前、あの女の子迫力に怖じけづいてないか」
「……………」
「やっぱり…。これからプロになろうって思ってる奴が、そんなことでどうするんだよ」

三谷君に図星突かれてなにも言い返せなかったから、逆に突っ込まれちゃった。
その通りなんだけど、対戦する人殆ど凄い人ばかりだから押されそうになるのよね…。
大きい人や迫力のある感じの人苦手だし。

「光明先輩にもアキラ先生にも言われただろ。相手の迫力に押されたらダメだって…」

光明君とアキラ先生に言われて、碁会所に行って私より体格とか含めて迫力がある人に打ってもらったりしてるけど、なかなか癖は直らなくて……。
怖いものは怖い。
そんな訳だから、最近はアキラ先生も本気モードで打ってくる。
怖くて…怖くて…未だに慣れないんだよ…。

今思えば大会に出て準優勝出来たのは、回りが同世代だったからだと思う。

「お前、光明先輩にプロなろう…って思わせる碁をプロになって打つんだろ」
「うん…」

私が打った碁に感動して、僕もプロの世界で打ってみたい…って思さたいと思ったことは今も忘れてないけど…。

「だったら、こんなことで落ち込んでる場合か。早く迫力で押されて怖じけず癖を克服しないと。もう本戦は始まってるんだぞ」
「ありがとう…三谷君」

三谷君の言う通りがんばらないとね。





「只今、戻りました」
「おかえり」

光明君が出前から帰ってきた。

「光明先輩、綾野香って知ってます?先輩と同じクラスらしいんですけど」

早速、三谷君が光明に綾野さんについて聞いてる。

「知らないな?」

あっ、同じクラスなのに知らないんだ。
ということは、興味もないってことだよね。

「先輩に認識されてないなら、そっち方面は心配ないな」

三谷君…恋のライバルになる心配はないってことで良いのかな?

「なんの話だ?」

尋ねる光明君に、棋院であった出来事を話した。
すると、みるみる光明君の表情が冷めたい感じになっていく。

「ふ~~ん…。僕が仕方なく恵と一緒にいるって…しかも、そいつに恵が圧倒された…って…」

不味い……。

「恵っ!」
「はい……」

あ~~光明君のお説教タイムが始まりそう。
「香、おはよう。とう?ブロ試験」
「順調!」
「香なら絶対受かるよ。なんたって海王一だもんね」
「なに言ってるのよ!海王一は進藤君でしょ」
「ごめ~ん、そんだった」

女子達が大笑いしている。
朝から元気だよな…。

あれが綾野香か。
海王では恵が母さんの弟子になったことは、囲碁を打つ関係者には大分前に知られている。

「母さんの弟子だから無理矢理付き合わされてる」

僕と恵が打っている所を見らたこともあって、海王の中では、これが事実として通ってる。

綾野は、果たしてどれだけ強いのか。
囲碁部の連中に聞いても良いけど、自分で打たないと解らないよな。
相手に圧されしまう癖は母さん達の協力で特訓中だけど、他にも必要なことがあるかもしれない。

という訳で、綾野って奴に対局を申し込むした。

「綾野さん放課後、僕と打ってくれませんか」
「えっ?……はい、喜んで!」
「それじゃあ、放課後に」
「進藤君に対局頼まれてちゃった!キャー」

…五月蝿い…。
更に五月蝿くなったぞ。

「どういう風の吹きまわしだよ。お前が自分から対局申し込むなんて」

話しかけて来たのは、八神陽(ひなた)。
小が校~今まで、ずっと同じクラスの腐れ縁の友達だ。
高校では流石にクラス離れるだろうと思ってたんだけど、もうこうなったら卒業まで一緒で良いかな…なんて思う。

八神は碁を全く知らない。
海王や他の所でも、塔矢行洋の孫、進藤ヒカルと塔矢アキラの息子…ということで気を遣ったり色眼鏡で見てくる人が多いけど、八神はその辺りを気にせず接してくれるから楽で今までつるんでいる。

「毎日それじゃ身体に悪い!碁を打つのも体力いるんだろ?」

…って言って、部屋で碁の本を読んでた僕を外に連れ出して、野球を教えてくれたのもコイツだった。

「あっ、もしかして恵ちゃん絡みか」
「名前で気安く呼ぶな」
「お前って、涼しい顔して独占欲強いよな」

恵との本当の関係を知っているたった1人の人物だ。
家に遊びに来てるうちに、恵が僕の弟子で彼女であることがバレた。
デートしてたら、たまたま目撃されたりもしたな。
ついでに、母さんの秘密を知っている。

「名前で呼んだぐらいで焼きもち焼くぐらいなら、もうちょっと優しくしてやれよ。恵ちゃんが可哀想だろ」

まあ、たまにこんなことを言ってくれるのが、余計なお世話だけど。

「しかも、間違った噂流れてるのに訂正しないし。まあ、訂正しない理由も解るけどな」

解るなら言うな。
いちいち訂正するのも面倒臭いし、後々ややこしくなっても困る。

「俺達の年で彼女持ちなんて羨ましい話なんだからな。しかも相手が中2って…羨ましいぜ」

知るかっ!
別に欲しいと思って出来た訳じゃないから。

「碁のことは解んないけど、綾野は出来るなら優しく打ったりしない方が良いぞ。優しくすると気があると思われるからな」
「…………」
「ああいうタイプは自信満々で自分が振られるなんて考えたことないだろうから、早めに目は摘んでおくべきだ」

ふ~ん…。
八神は色々アドバイスもくれる。
良い奴だ。


そして、放課後。
綾野と打ってみたら、院生だけあって確かに強い。
恵との実力差は…綾野の方が若干上だけど、恵の実力が出せれば勝てるかもしれない。

(アイツは大化けする時があるからな)

明美と大会に出た時がそうだった。
でもな…。
相手の迫力に圧されて実力を出せてないからな。
この弱点を克服させないと。
こうなったら、行洋お祖父ちゃんに頼むか。
恵と打ちたがってるし、ちょうど良いかもな。
よし、そうしよう。


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