光明君がバイトしてるお店で、加賀君と三谷君とティータイム中。
対局後は、糖分が欲しくなるのよね…。
でも、私はケーキよりも、今日あった出来事のせいで落ち込み中なんです。
ちなみに、光明は出前中。
「~~~~~~」
あっ、プロ試験本戦1回戦勝ったよ。
「あれぐらいで押されてどうすんだよ」
三谷君がケーキをパクつきながら言う。
「勢いに圧倒されちゃって…」
対局が終わった後、突然院生の女子に声をかけられたんだけど…。
『進藤君が貴女の面倒見てるのは、アキラ先生の弟子をだからよ。それにアキラ先生が貴女を弟子にしたのはヒカル先生スポンサーに気を遣ってのことよ。そうじゃなかったら貴女のなんて、進藤君に近付けるわけないんだから!!アナタには負けない!』
いきなり捲し立てる感じて話して、ライバル宣言?して去って行った。
私は、訳が解らなくてポカンなってて、彼女が去った後、身体の力が抜けてその場に座り込んでしまった。
あ~~~凄い迫力で…ビックリしたよ……。
「言いたい奴には言わせとけ!勝手に想像して思い込んでるだけだ」
確かに加賀君の言う通りなんだけど、光明君の回りにそう見られてると思うと、なんか切ないな…。
始まりは押し掛けだけど、その後は全然違うんだけど、光明君ファンにはそう思われてるのかな。
「お前、あの女の子迫力に怖じけづいてないか」
「……………」
「やっぱり…。これからプロになろうって思ってる奴が、そんなことでどうするんだよ」
三谷君に図星突かれてなにも言い返せなかったから、逆に突っ込まれちゃった。
その通りなんだけど、対戦する人殆ど凄い人ばかりだから押されそうになるのよね…。
大きい人や迫力のある感じの人苦手だし。
「光明先輩にもアキラ先生にも言われただろ。相手の迫力に押されたらダメだって…」
光明君とアキラ先生に言われて、碁会所に行って私より体格とか含めて迫力がある人に打ってもらったりしてるけど、なかなか癖は直らなくて……。
怖いものは怖い。
そんな訳だから、最近はアキラ先生も本気モードで打ってくる。
怖くて…怖くて…未だに慣れないんだよ…。
今思えば大会に出て準優勝出来たのは、回りが同世代だったからだと思う。
「お前、光明先輩にプロなろう…って思わせる碁をプロになって打つんだろ」
「うん…」
私が打った碁に感動して、僕もプロの世界で打ってみたい…って思さたいと思ったことは今も忘れてないけど…。
「だったら、こんなことで落ち込んでる場合か。早く迫力で押されて怖じけず癖を克服しないと。もう本戦は始まってるんだぞ」
「ありがとう…三谷君」
三谷君の言う通りがんばらないとね。
「只今、戻りました」
「おかえり」
光明君が出前から帰ってきた。
「光明先輩、綾野香って知ってます?先輩と同じクラスらしいんですけど」
早速、三谷君が光明に綾野さんについて聞いてる。
「知らないな?」
あっ、同じクラスなのに知らないんだ。
ということは、興味もないってことだよね。
「先輩に認識されてないなら、そっち方面は心配ないな」
三谷君…恋のライバルになる心配はないってことで良いのかな?
「なんの話だ?」
尋ねる光明君に、棋院であった出来事を話した。
すると、みるみる光明君の表情が冷めたい感じになっていく。
「ふ~~ん…。僕が仕方なく恵と一緒にいるって…しかも、そいつに恵が圧倒された…って…」
不味い……。
「恵っ!」
「はい……」
あ~~光明君のお説教タイムが始まりそう。
癖を直せないのは私が悪いけど、私との関係を勘違いされるのは、日頃の光明君の学校での態度が問題だと思うよ。