女王様を手に入れろ! 74
(正輝サイド)

光明先輩がお見舞いに来てくれた。

「足大丈夫か?」
「あっ、はい、大丈夫です!」

足の骨にヒビがは入ってるから大丈夫って訳じゃないんだけど、緊張して思わず、大丈夫って答えてしまった。
ヒカル先生の弟子になって頻繁に会うようになって慣れてきたとはいえ、海王小~大学の生徒の憧れ、光明先輩と2人だけってのは、やっぱり緊張する。

「これ、親父から。手はなんともないんだから、碁は打てるだろ…って」
「ありがとうございますっ」

ヤッターッ!
動けない以外は元気だから、暇でしょうがなったんだよな。
助かった…。

「休んでる間の授業のノート」
「どうやって…」

クラスどころか学年も違うのに…。

「明美の勉強見てたら予想はつくからな」

なんだ…そういうことか…納得した。

「恵を庇ってくれてありがとう」

進藤先輩がオレに頭を下げてるなんて…信じられねぇ。

「お前が居なかったら大怪我になってたかもしれない」
「いえ、とっさに身体が動いてただけで…」

アイツ…せっかちなのか…よく躓いたりしてて、それを助けてるうちに情景反射で身体が動くようになっただけで…。

「別に先輩から藤ノ宮を取ろうなんて思ってませんから」

そこはハッキリ言っておく。
オレの恋は自覚と同時に、あっという間に終わった。
先輩が完璧だから戦う気なんて起きなかったし。

「そこは心配してない」

うわ~~凄い自信満々。

「アイツ碁の知識なにもないのに、僕に近付きたくて母さんに、弟子にしてくれって言ってきた奴だからな」

嘘だろ…それは、あまりにも無謀過ぎるぞ…バカなのか?藤ノ宮。
光明先輩、自分に近付く為に、そんなことされたから自信過剰になったのか?
それでも元々?

「胡座かいてると、いつか誰かに取られますよ」

藤ノ宮を見てるとそんなことは絶対ないけど、凄い自信だから。ちょっと意地悪を言ってみたくなった。

「そんなヘマはしないさ」

やっぱり全く堪えてない。
なんか腹が立つ。
でも、しょうがないよな…進藤光明だから。
こうなったら、学校で虫除けでもなんでもやりますか。
先輩と藤ノ宮お似合いだしな。

(さて、早く怪我治して正美ちゃんに会いに行かないと)

かなり心配してるらしいし、進藤にも相当怒ってキツく当たってるらしいからな。
オレが失恋の痛手を感じなかったのは、正美ちゃんが振り回してくるたからだと思う。
感謝してるよ…正美ちゃん。


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