女王様を手に入れろ! 70
(光明サイド)

正美と明子お祖母ちゃんと明日の夕食の材料を買いに来たんだけど…12人分は重い…。

「流石に8人分を1人で作るのは大変でしょ。手伝うわね」
「有り難う、明子お祖母ちゃん」
「みっちゃんも手伝ってくれるって言ってたし、ついでに行洋さん達の分も作ってしまおうかしら」

加賀と三谷が親父と母さんの弟子になってから直ぐに、隔週の土曜日は泊まり込みで碁の勉強をするようになった。
当然のように僕や洋明、正美、そして行洋お祖父ちゃんまで勉強会にいる。
僕が恵を教え始めた頃から、教えるのに参加したくてウズウズしてたみたいで、ついに耐えられなくなって参加することにしたみたいだ。

勉強会の夕飯は、いつもなら親父と一緒に作るところだけど、イベント参加の為に海外に行っている。
親父1人で海外大丈夫かな?
いつまで経っても海外が苦手なんだよ。
まあ、棋院のスタッフがついてるなら大丈夫だろう。

「明子お祖母ちゃん福引き引いて良いよね?」
「もちろんよ」
「よしっ!ネズミの国のペアチケットを当てて、正輝お兄ちゃんと一緒に行くんだ」

スーパーの福引きにネズミの国なチケットあることを知ってから、正美はチャレンジする気満々だ。

「2つ当てたら、お姉ちゃんやお兄ちゃんも行けるよね!」

なんて言ってくれてるけど…2つ当てるのがどれだか大変か解ってるのか?
この福引きにネズミの国のチケット(1つで3名)は3つ入ってないないんだぞ。
それ2つも当てようっていうのか。
その前に、小学生と中学生だけでネズミの国に行くのを、母さん達は許してくれるのだろうか。
意気揚々と福引きを引く正美。
この後、驚愕の展開が待っていたんだ。





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今週の土曜日の夕食は凄いことになった。
母さんや明子お祖母ちゃん達も一緒に食卓を囲んだ。
加賀も三谷は、ちょっと緊張してたな。

「正輝お兄ちゃんっ!ネズミの国に行こうっ!」
「はっ?」
「福引きで当てたんだ。ジャァ~~ン」

正美は皆に見せびらかす感じで、チケットを出した。

「正美ちゃんが2回ともネズミ国のチケットを当てた時は、本当にビックリしたわね」

2回連続で当たりの鐘が鳴り響いた時は、本気で驚いたよ。
連続で2等を当てたのは、正美が初めてらしい。

「恵お姉ちゃん、光明お兄ちゃんとネズミの国行きたいって言ってたでしょ。明美お姉ちゃんも加賀お兄ちゃんも一緒に行こうよ」
「なんで、私と加賀も一緒に行かないといけないのよ」
「だって、チケット6枚あるんだよ。勿体ないから…トリプルデートしよ」
「トリプルデート!?」

おい、正美、いつの間に、そんな言葉を覚えたんだ?

「ねえ、洋明ちゃん。光明達の写真とってきてくれない?チケット代とお小遣い出すから」
「お母さんっ!なにを言い出すんですか。勝手に小遣い出すとか言わないでください。癖になりますから」

明子お祖母ちゃんの言葉に、直ぐ様止めて欲しいという母さん。
明子お祖母ちゃんからお小遣いを貰いたくて、僕達の写真撮ったりしてるからな。

「良いじゃないの。アキラさん気にならない?」
「なりませんっ!」

母さんはきっぱり言いきった。

今回は私が行ったりさしたらお邪魔だけど洋明ちゃんなら大丈夫だと思うし…ね
っ、お願い」
「良いよ。揉めた時の止め役にもなるよ」
「流石、洋明ちゃんっ!」

明子お祖母ちゃんは写真が見られることになって大喜び。

「ねえ、7人で一緒に行こうよ…」

諦めずに僕達を誘う正美。
基本的に正美にお願いされると、断れないんだよな…。


結局、誘われた僕達は断り切れず、ネズミの国に行くことになった訳だけど…楽しみにしてる恵や正美と違って、僕達は全然楽しくない派だから、この温度差がどう影響するのだろう。


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