女王様を手に入れろ! 66
(恵サイド)

「うちのクラスは明美ちゃんと加賀君のお陰で、毎日賑やかで大変なんだよ」

私は碁を打ちながら、光明君に学校でのことを報告するのが最近の日課。
碁を打ってる時に怒鳴られることもなくなって、ちょっと寂しい今日この頃です。

「ふ~ん…最近急に勉強頑張り出したのは、そいつのせいか」

明美ちゃん…加賀君に負けたくなくて、光明君を巻き込んで…というか教えてもらって、碁でも勉強でも「打倒!加賀」で頑張ってる。
お陰で碁の方の勝率は、けっこう良いみたい。
プライベートでは、加賀君にも勝ってるし…負けてる時もあるけど。
勉強の方は………ね………。

「受験の時にあれぐらいの気持ちでやれば、もう少し成績良かっただろうに」

確かにそうかも?
もう1年早く加賀君に出会ってれば良かったのかもね。

「あとな、親父の前で、その加賀ってヤツの話はするなよ」
「どうして?」
「親父が寝込んで母さんが大変なことになる。ついでに家も棋院もな」

光明君に言われて、緒方さんの騒動を思い出した。
あの時はヒカル先生倒れちゃって、大変だったもんね…。

「うん……」

ホントにヒカル先生に知られないように気を付けないと。
もう少し2人の気持ちが固まるまでは、そっとしておこう。

「あとね…三谷君が今でも勉強教えてくれるんだ。この前なんて、段差で躓いた時本気で心配してくれたし…優しいんだ」
「…………っっ!!」

あつ、光明君の機嫌が悪くなった。
三谷君の話すると機嫌が悪くなるんだよね。
ヤキモチ焼いてくれてるのかな?
そうだと嬉しいから、最近はワザと三谷君の話をしてる。
いつも冷たいから、これぐらい良いよね。

私が光明君から心変わりすることは、絶対ないよ。
小学1年の頃からずっと光明君一筋だから。
光明君に近付きたくて、アキラ先生に突撃したぐらいだし。
…あの頃のことは、私の中では黒歴史です。





「今度、囲碁大会団体戦の代表を決めるトーナメントがあるの」

男子2名と女子1名の計3名が1チームで行われる団体戦に出るメンバーを決める為、学年もキャリアも関係なく総当たりのトーナメントで、上位男子2名と女子1名がメンバーに選ばれる。

「頑張れよ」

あ~~相変わらず素っ気ない応援。
さっきまでヤキモチ焼いてたのに、もういつもの光明君に戻ってる。
機嫌が悪い時間が短くて残念。
あと、デートに誘うのは大体私から。
もう慣れたけど、たまには光明君からデートとか誘って欲しいよね…。
そう思いながら今回も私から誘う。
そうしないと永遠にデート出来なさそうだから。

「ねぇ、今度夢の国行かない?」
「なんで?」

一般的な男子って好きな女子の気を引く為に、デートとか誘って頑張るんじゃないの?
まあ、光明君が、そんなことしてるなんて想像出来ないけど。

「たまには良いじゃない。光明君バイト代あるでしょ?私もお年玉残ってるし」
「嫌だ」
「どうして?」
「忙しい」

…それを言われてしまうと、なにも言えなくなっちゃう。
確かに、高校の授業にバイト…私に勉強と碁を教えてるから、光明君さ物凄く忙しい。
でも、ワガママかもしれないけどデートしたい!!
だから、OKしてもらえるように粘り強く頑張る!!


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