今日は明美と恵ちゃんの入学式。
ヒカルは子供達の大事な行事がある時は必ず休む。
どんな重要な仕事あっても休みをもぎ取る。
だから、今日も2人揃って無事に出席することが出来た。
「進藤君、藤崎さん」
後ろからヒカルが声をかけられて、僕も思わず振り向いて直ぐ、ヒカルが驚いた顔で女性の方に向かっていた。
…どこかで、見たことあるような?
「えーっ!筒井さん。なんで?」
藤崎さんも女性の元へ走っていく。
2人共通の知り合いなのか?
「僕の息子がね…海王小から持ち上がりなんだよ」
「へぇ~頭は筒井さん似なんだ」
「学力以外は鉄男似だよ…」
「あ~それは大変だろうな…」
そう言ってヒカルは笑う。
「金子さ~ん、進藤君と藤崎さんがいたよ」
「「えっ?金子(さん)?」」
ヒカルと藤崎さんかキレイにハモった。
さすがは幼馴染み。
「あっ、進藤。クラス表に『進藤』と『藤ノ宮』があって、もしかしてと思ったら、やっぱりアンタ達だったんだ」
金子さんっていう人に言われて今頃慌てて、クラス表を確認するヒカル。
前もって確認しろ…と言っただろ…全く。
僕は、担任の先生にもビックリなんだけど。
「金子さんの子も海王に?」
「うちの子、結構頭良いんだよね。私の子だから当然だけど、アイツもやれば出来るやつだからね」
「そうなんだ…」
「まさか葉瀬中囲碁部がこんな形で再会するなんてね」
あっ、葉瀬中囲碁部の人達だったんだ。
「うちの子、塔矢さんのファンでプロ目指してるんだよ」
「へ~~加賀、不貞腐れてない?」
「されてるよ。なんで塔矢なんだって…」
「変わってないんだな…加賀」
うん?もしかして僕、筒井さんの旦那さんに嫌われてる?
その理由は後でヒカルから聞いて気にしなくて良いと言われたんだけど、嫌われても仕方ないかもね。
「うちの子も進藤のファンでプロ目指してるよ」
「三谷君…喜んでるでしょ。ヒカルのこと応援してたから」
「応援してるなんて、絶対言わないけどね」
「三谷君も変わってないんだ」
ヒカルも藤崎さんも話が弾んでいて楽しそうに笑っている。
まるで同窓会状態。
これは、暫く戻って来ないな。
「あっ、塔矢、久し振り…って、光明の卒業式で会ったか」
ヒカル達が盛り上がってる所に日高先輩が現れた。
「光明の担任が岸本で娘の方は私で、葉瀬中囲碁部のメンバー2世が揃って同じクラスって…。楽しい3年間になりそうだわ。この中から、またプロが出たりして」
光明の担任は岸本先輩で、明美の担任は日高先輩…。
ホントに誰がクラス分けしたんだ。
やっぱり校長だよね。
「ところでアンタの娘、かなり滑り込みの合格だったけど、頭は旦那譲りなんだね」
海王は合格発表が成績順なんだよ。
明美の名前が最後にあったということは…そう言うことです。
「光明と違って苦労かけてしまうかもしれませんが…」
「でも、まあ、プロになった訳だし、進路についてはプロ1本に絞る手もあるし…」
あっ、もしかして日高先輩、高校は諦めろって思ってませんか?
「…………」
3年間で、なにか変わるかもしれないし深く考えるのは止めよう。
僕が日高先輩と話し終わった後も、入学式が始まる寸前までヒカル達は話が盛り上がっていて、今度家で打とう!っという話になった。
間違いなく集まるのはうちだな。
ヒカルと藤崎さんにとって、同窓会のようになった入学式は何事もなく終わった。
筒井さんも金子さんも良い人みたいだし、光明の時とは違って保護者関係も楽しいことになりそう。
余談だけど、明美の入学式の前々日。
「ヒカルさんとアキラさんが海王の制服来て並んでるみたい」
まっさらな海王の着た明美の横で、卒業した筈の光明が海王中の制服を着せられて、2人並ばされて写真を取られていた。
お祖母ちゃん孝行も大変だな…。