「私はどうして、ここにいるのよ!葉瀬中で良いって言ったのにっ!」
明美ちゃんはプロ試験に合格した後、光明君のスパルタ受験勉強のお陰で、ストレスが溜まってパニックになってる。
「とりあえず明美も受けたら」
アキラ先生の一言で海王を受けることになって、受験が終わるまで碁も禁止だったから、相当辛かったと思う。
こんな状態で試験受けて大丈夫かな。
「明美ちゃん…落ち着いて。試験が終わったら碁も一杯打てるし、今日はヒカル先生が明美ちゃん好きなもの作ってくれるって言ってたでしょ、だから頑張ろう」
「うん…」
私も頑張らないと、明美ちゃんを励ましてる場合じゃないんだ。
…って、思ってるけど受験番号が縁起が悪すぎて泣けてくる。
0794…ナクヨだよ。
もう泣けてきたよ。
「受かって泣くよってことだよ」
そう言って皆が励ましてくれたけど。
とにかく試験頑張らないと。
試験が終わった時には、私も明美ちゃんも真っ白に燃え尽きてたよ…。
●〇●〇●〇 ●〇●〇●〇●〇
「発表見るの見るのが怖いよ…」
合格発表の掲示板の前に来て、怖くて見れない私。
「どうせ受かってないし、パッと見て帰ろう」
明美ちゃんは落ちてるつもりだからプレッシャーもなくて元気だ。
呑気に私の番号を探し始めた。
「あっ、恵の番号あったよ」
「えっ?嘘?」
明美ちゃんが指差す方向を見ると、確かに最後から2番目に、私の受験番号があった。
「明美ちゃんの番号あるよ」
なんとなく目線を下げると、1番最後に明美ちゃんの受験番号もあった。
「「受かったんだ…」」
他の人は飛びあがって喜んだけど、私と明美ちゃんは受かったことが信じられなくて。ただ驚いてた。
「アニキ…棋士よりもコックよりも教師に向いてるかも」
明美ちゃんの言葉に完全同意。
こんなに頭が悪い私達を海王に入れてくれたんだもんね。
「皆にママと同じで頭良いって思われてそう…」
アキラ先生海王のスーバースターだもんね。
手合いで休んでても成績良かったらしいし。
プロ生活も始まるし、明美ちゃん…これから大変かも。
「でも、まあ、なんとかなるか」
不安に思ってるのかな…って心配したら、すぐ明るい明美ちゃんに戻る。
そういう切り替えの早いというか…能天気な所、ホント見習いたいな。
私も碁と勉強頑張らないと、プロになるって決めたんだから。
家に居るお母さんに電話したら、とても喜んでくれた、
その後、お母さんが呟いた。
「海王のPTAやれるかな…」
…お母さん…。
入学前から色々不安な私達だけど、先輩が2人も居るんだから、なんとかなるよ。
明美ちゃんによると進藤家では…。
「奇跡だ…」
明美ちゃんはアキラ先生達に合格を報告したら、光明君やアキラ先生、洋明君にまで、奇跡と言われたらしい。
「明美はオレに似てやる時はやるんだよ」
ヒカル先生が必死にフォローしてたらしい。
「でも、ちゃんと祝ってもらえたんでしょ」
「だけど、なんかムカつくんだよね!」
私は不貞腐れている明美ちゃんを見て、苦笑いするしかなかった。
光明君もアキラ先生も洋明君も酷いよ。
そんな訳で、海王に行かないと行っていた明美ちゃんも行くことが出来て、4月から碁と勉強頑張るぞ!