女王様を手に入れろ! 62
(ヒカルサイド)

年も押し迫った12月。
あかりの所に男の子が生まれた。
名前は、弥(わたる)。

おいっ!予定日1月って言ってなかったか?
病院に運ばれたって連絡来た時は、アキラと2人でビックリして心配したけど、生まれてみたら、ちょっとだけ小さいぐらいで何処にも異常のない健康な男の子で一安心。

落ち着いただろう所で、改めて、アキラと2人でお見舞いに来た。

「連絡もらった時はビックリしたけど無事に生まれて良かったよ」
「ありがと…塔矢さん。まさかこんなに早く生まれるなんてビックリよ」
「待望の男の子だね…」
「ずっと期待されてたんだけどね。やっと肩の荷が降りたわ…」

それなりに跡継ぎのプレッシャーはあったたんだな。
でも、色々あって見て見ぬフリをしていたと最近聞いた。
あかりも色々苦労してるのかもな。
オレの家はともかく、塔矢は跡継ぎがいるような気がして先生に聞いたこともあるんだけど、必要ないって言われたからお気楽なもんだぜ。
お陰で碁に集中してる。
まあ、光明と洋明がいるから、跡継ぎ問題が出ても大丈夫だな。

「それにしても…クリスマスイブに生まれるなんて、幸せになれるよ」
「そうかな?」

そうなんだ、あかりの子はクリスマスイブに生まれた。
藤ノ宮さんと食事中に産気ついたらしい。
恵ちゃんは家に遊びに来てたんだよな。
藤ノ宮さんにもオレ達家族にも忘れられない日になった。

「仁志さんがね…碁を教えるんだって張り切ってる。ヒカルの後援会も継いでもらうから碁は知らないと…って」

藤ノ宮さん所も、もう囲碁一家だな…。
プロになってたら間違いなく先輩棋士として、オレの前に立ちはだかってた筈だ。
勿体ないし残念。

「それはそうと、恵があのままお世話になってるみたいで…ごめんね」
「気にするなよ。落ち着くまで預かるぜ」

この状況を生かして、受験の追い込みしてるみたいだしな。

「しかも、仁志さんまでお世話になっちゃって…。ほっといたらラーメンとハンバーガーで済ませちゃいそうだから助かったけど」

解る!
藤ノ宮さん、好きな食い物オレと同じだもんな。
オレも1人だったら、絶対ラーメンとハンバーガーで済ませてる。

「良いんだよ…。1人分も2人分も変わらないし」

…って、作ってるのはオレなんですけど…。
時々、光明も。
まあ、良いけどさ。

恵ちゃんをうちで預かってから、藤ノ宮さんが毎日様子を見に来て、気が付いたら一緒にご飯を食べていた。

そして、藤ノ宮さんにアキラが料理出来ないのがバレた。

「あかりには黙っておくよ」

笑いながら言ってくれた藤ノ宮さんは、ホントに良い人だ。
アキラのイメージを崩したくないというオレの気持ちを解ってくれてるんだ。
まあ、ぶっちゃけアキラの苦手なことは、オレと家族だけが知ってれば良いんだ。
他人は知らなくて良いよ。





そういえば、弥君を見てたら可愛くてさ。

「5人目欲しいな…」

思わず呟いたら、ふざけるな~~っっっ!!!って、怒鳴られて部屋から閉め出された。

冗談だから…本気にするなよ…アキラ~~。


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