女王様を手に入れろ! 59
(恵サイド)

「この前のお礼にハンバーガー奢ごるね」
「なんで、ハンバーガーなんだよ」
「色々考えたんだけど、これが1番喜ぶかな…って」

この間、光明君が家に来て夕飯を作ってくれた。
後で解ったことなんだけど作り置きまでしてくれててビックリ。
お母さんに、なにかお礼したいけど光明君の好みが解らないから、恵に任せるわ…と言われて考えた結果、ハンバーガーにしました。
しばらく食べてないと思ったから。
光明君、大好きななのに普段は食べないだよね。
なんで?
ヒカル先生と好みが似てるのが嫌なのかな?

「ハンバーガーにしたのは良いけど、お母さんから貰ったお金余っちゃった」

どうしよう…。
やっぱり返すべきかな?

「参考書買えば?参考書なら、おばさんも怒らないと思うぞ。お前の成績、海王合格スレスレだしな」

参考書かぁ…。
確かにそれが良いかも。
海王中に行くと決めてから必死に勉強して成績も上がったけど、また合格スレスレラインで気を抜くと危ないんだよね。

「さあ、帰って夏休みの宿題と勉強だ」

ハンバーガーを食べ終わった光明君が立ち上がった。
このままデート…といかないのが辛いけど、受験の年だもんね。
しょうがないか…。

「明美ちゃんは?」
「今年のプロ試験受けるって言ってるからな。今日も碁会所巡り」

海王受験から逃げたわね…明美ちゃん。
プロ試験を中学受験を止める口実に使うなんて、プロを目指してる人が聞いたら怒りそう。
でも、明美ちゃんなら中学受験よりプロ試験の方が楽だろな…。
それぐらい明美ちゃんは強いと思う。

「プロ試験受けても、夏休みの宿題から逃げられるわけないのに…29日辺りになったら、泣きついて来るぞ…アイツ」
「ハハハハハ……」

普通に想像出来て、思わず笑ってしまった。
日記だけは毎日書いてると良いな…。
日記は纏めて書くと大変だよ。

(明美ちゃん…遂にプロになるのか…)

私も海王に行ったら碁の勉強も頑張らなきゃ。
院生になることも考えたんだけど、そうすると勉強と院生研修で光明君に会う…じゃなくて…碁や勉強を教えて貰う時間が減っちゃうから、このまま光明君に教えて貰うことにしたの。

そして、私はプロを目指します!
光明君が夕飯を作りに来てくれた日の夜、お父さんに光明君がプロになりたがらない理由を聞いて私は考えた。

私がプロになって良い碁を打てば、プロになろうって思って貰えるかな…って。
人の為にプロになってやっていける世界じゃないことは、もう流石に解ってる。
私が挑戦したいからやってみる。
それで光明君が、プロになってくれたら嬉しい。
それに、アキラ先生とヒカル先生を見てたら、2人のようになりたいな…と思ったんだ。
だから光明君が23になる年まで、やれるだけやってみようと決めたんだ!


NEXT




Page Top