進藤君のことを調べてた時に、あかりの写真を見て…。
(かわいいな…)
…って、思ったのが第一印象だったな…。
一目惚れまではいかないけど、気になったのは間違いない。
進藤君の結婚式で、突然の結婚式で驚きながらも祝福してる仲間の中で、1人だけ明明らかに浮かない顔をしていたのが…あかりだった。
花嫁のブーケの件は、何年か後に塔矢さんに聞いてみると、あかりの手に収まった瞬間「やってしまった」と焦ったらしい。
塔矢さんが業と、そんなことする訳ないもんな。
進藤君は、そんなことに気を遣ってる余裕はなかったらしいけど。
まあ、あんな写真を公開されたら…ショックだよな。
オレは楽しかったけど…似合ってたし。
そのブーケのお陰(…だとオレは思ってる)で、オレはあかりと出会えたんだから、塔矢さんのミスに感謝!!
結婚式の後、食事に誘ってみたりして、さりげなくアプローチを始めた。
あかりも進藤君への想いを忘れたいと思っていたせいなのか、誘うと積極的に乗ってきた。
オレが会社社長をやってることは内緒にしてたんだが、うちの会社とあかりの父親が勤める会社の間に取引があって、あかりの父親の会社の重役に見られていたようで、あかりの父親が会社の会長に呼びだされて大変だったらしい。
そこで、諦めてオレの素性を明かしたら、とても驚かれた後、ラーメンとかファーストフードやス○バとばかり連れていかれるから、社長をやってるようには見えなかった…と笑われた。
巣の自分で、あかりといたかったからカジュアルな格好してたし。
スーツは疲れるから嫌いなんだ。
そう言うと…
「ヒカルとソックリ」
…と、また笑われた。
進藤君と似てる所が、結構あるらしい。
オレとしては嫉妬しない訳ではなかったけど、10才以上離れてる男として余裕を見せたかったし、進藤君への想いを吹っ切れないことも込みで、あかりとの結婚を決めたんだからな。
素性を明かした後改めて、あかりに結婚前提のお付き合いを申し込んだ。
「進藤君を諦められないことを承知の上で、結婚前提で付き合ってください」
「はい」
OK貰った後が、ちょっと大変だったかも。
挨拶に行ったら、あかりの母親と姉がかなりのミーハーで…引いたな…あれは。付き合ってるあかり本人よりも、母親と姉のテンションの高かったからな。
あかりにプロポーズしたのは、あかりが19才だったけど、10才以上年が離れてるから、いつ良い男が現れてフラレるかもしれないと焦ってたんだよ。
あかりが、20の誕生日を迎えた年の6月に結婚した。
あかりに大学を止めてもらう必要はなかったから、そのまま通うことをOKした。
あかりとの結婚が決まった時、進藤君から言われた。
「あかりをよろしくお願いします」
「君に言われなくても、幸せにしてみせるよ」
オレと結婚して良かったと思うぐらいにね。
結婚式はあかりが引くぐらいの盛大なものにしてやった。
塔矢さんに負けないぐらいキレイだったぞ。
そして、結婚から約2年後の子供の日に恵が生まれた。
もう1人ぐらい欲しいとは思うが、あかりのことを考えると言い出さずにいる。
それと、まだまだ進藤君への未練が切れないていないから、後援会関係のものには出なくて良いことにしている。
早く塔矢さんとの蟠りを消して、進藤君を一緒に応援したいな。
時は流れ……。
恵が小学2年生なった直後、とんでもない事態を引き起こした。
その出来事のおかげで、あかりと塔矢さんがお互いの蟠りを解くきっかけになったのは良かったことだけど。
光明君に近づきたいから、碁を始めないなんて…なんていう不純な動機なんだ…全く。
ちなみに、恵の頭の悪さは多分オレ似。
オレ…勉強嫌いだもんな。
社長なんて、よくやってるよ。