女王様を手に入れろ! 39
(ヒカルサイド)

「よう、進藤」

棋院のロビーで緒方さんに会った。

「次は俺が勝って、お前から本因坊を奪ってやる」

会った途端に言う台詞がこれ。
まあ、オレと緒方さんの状況だとしょうがないけど。
オレと緒方さんは、今本因坊戦の真っ最中。
緒方さんの挑戦をオレが受けている。
情けないことに、2勝3敗で緒方さんにタイトル奪取王手をかけられてた。

「確かに…緒方さんが王手かけてますけど、オレ本因坊だけはなにがあっても手放す気ないんで、絶対、逆転して防衛しますよ」

最近のゴタゴタのせいだなんて、佐為には絶対言えない!
絶対、逆転して防衛してやる!

「ところで…お前の娘は、まだ俺のことを諦めてくれる気配がなさそうだな」
「色々迷惑をかけてるみたいですいません…」

明美は、塔矢先生に会いに来た緒方さんに、猛アタックを続けているんだ。

「大したことはないから良いが…。最初の頃は驚いたがな…」

アタックと言っても所詮8才の子供のやることにだから、大人で百戦錬磨の緒方さんが本気に訳ないんだよな。


「この間会った時は、本因坊戦頑張ってくださいっ…と応援されたしな」

緒方んが、からかうような嫌な笑みを浮かべている。
心理戦を仕掛けて来たのか?
明美~~~。
父親の対戦相手を応援してどうするんだよ!!

「それにしても…どうして俺だったんだ?」
「オレが知りたいですよ~~」

ホントにオレの方が知りたい。
アキラと話し合ってもまったく検討がつかないし…。
明美は塔矢先生にベッタリだったけど…まさか、それでオジ専になったとか?

父親にとって娘の恋はいつまでも複雑だって聞くし、辛いけど応援しないとダメだって言われたけど……緒方さんは絶対ダメだ!!
……緒方さんじゃなくても、やっぱりダメだけどな!

「安心しろ、結婚が決まりそうだ」

えっ?

「ホント?」

前にやったっていうお見合い上手く言ったのか。

「ああ、だからこそ、何としても本因坊をお前から奪う。結婚に花を添えたいからな」
「そうはいかないよ」

結婚は祝福するけど、それとこれとは別だ!





明美、落ち込むだろうな…。
でも、きっと緒方先生より良い人が現れ……いや、明美は一生嫁になんか、行かせるか!!
明美には一生、進藤明美でいてもらう!!





あっ、本因坊は騒然オレが防衛。
明美が本気で残念がってたけど……。


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