女王様を手に入れろ! 38
(光明サイド)

「兄貴、勉強教えて」

さあ、お母さんが作った詰碁でも解くかな…と思ってたら、明美が勉強を教えろとやってきた。
僕の答えは勿論…。

「嫌だ!」

僕の貴重なプライベートな時間だ。
しかも、明美の後ろに藤ノ宮がいる。

「どうして、お前がいる?」

きっと、明美と同じような理由なんだろな。

「今度のテストで50点以上とらないと、光明に碁を教えてもらえなくなっちゃうの…」

母親に碁を習ってるせいで、成績が落ちてると思われてるらしい…。
あの答案を見ると、碁のせいじゃなくて元からだろ。

「それは、僕にとっては嬉しいことだな」

平穏な日々が戻ってくるから。

「酷い…」
「兄貴、性格悪い」

ほっとけ、本音だ。

「ね~~兄貴、お願いだから教えて~~。2人で勉強してたも、全然解らないんだよ~~」

明美が泣きついてきた。
こうなると教えるというまで離してくれない。
しかも今回は、藤ノ宮が必死な顔で、僕を見てるんだ………。
最近、その顔に弱いんだよ~~。





………結局、2人に根負けして勉強を教えることになってしまった……。

は~~~~あ………。





「48÷6=……7?」
「42÷6=8」

割り算をやらせてみたらボロボロで、九九が出来てないからだと判断した僕は、九九をやらせてみたんだけど……

「九九、83…?」
「はっぱ…65」

ガクッ!

「なんでそうなる?」

……こっちもボロボロなのか?!

「なんでって言われてもね~」

明美と藤ノ宮が顔を見合わせて苦笑している。

「お前え達は今までの授業で、何を聞いてたんだ」

ちゃんと授業聞いていれば解る筈だぞ。

「ちゃんと聞いてた筈なんだけどな~~~へへへ……」

明美がヘラヘラ笑う。
お前な~~~~っっっ!!!

「こうなったら、テストまで徹底的に教えてやる!!覚悟しろよ」

僕の中で、なにかが切れた。
我が妹ながら情けない!
こうなったは、徹底的やる!
ついでに、藤ノ宮もだ!





その後。
2人の頑張りというより、僕の頑張りで無事テスト50点以上ををクリアすることが出来た。
そんな訳で、明美は小遣いストップを免れ、藤ノ宮は僕の囲碁教室を続けられる。

今回改めて思ったけど、アイツの頭では大学受験どころか高校受験も怪しい気がする。
明美……。
お前はさっさとプロ試験受けてプロになった方が、囲碁界や自分の為だと思うぞ。
藤ノ宮は一生懸命だから、まだ望みはありそうだけど。


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