「ふざけるな~~~っっっ!!!」
アキラ怒鳴り声が響いた。
あっ、オレにじゃないぜ!
明美に怒鳴ってるんだ。
テストの点数悪すぎてな。
オレ専用な感じだったセリフは、今、明美とオレ専用になってる。
明美、お前また何点取ったんだ?
顔や髪の色はアキラに瓜二つなのに、頭の中は完璧オレに似てしまった。
小学校に入学してテストを受けるようになってから、ほぼ毎回アキラの怒鳴り声を聞くようになった。
アキラに取ってはあり得ない点数らしい。
30点以下って…。
オレにとっては普通だったけどな。
「今度のテストで50以下だったら、来月のお小遣いなし!」
あ~遂に出た…小遣いなし!
いつか出るんじゃないかって思ってたんだよな。
オレも散々やられたし。
「そんな~~」
ショックを受けてる明美。
ゴメンな…。
助けてやりたいけど、ここでオレが口を出したら火に油だし、それにアキラの言うこと聞いて、ちゃんと勉強した方が良いぞ。
最近、つくづく思うんだよな…勉強しとけば良かったな…って。
だから頑張れ。
「良いもん…お祖父ちゃん達に頼むから」
「無駄だよ。助けないように言ってあるからね」
さすがアキラ、もう根回ししてるのね。
塔矢先生達は解らないけど、お袋達は即乗ってくれた筈だ。
「なら…」
「お祖父様もダメ!連絡してるから」
「嘘…」
明美の悪知恵?を先手で全部潰しているアキラ。
お、おい!じーちゃんにまで根回ししてるのかよ。
抜け目ないな…。
「ママの意地悪~」
明美が半泣きで眼をウルウルさせながら、アキラを見つめている。
そのウルウル攻撃、オレや光明、両親達は弱いけどアキラは落ちないんだよ。
さすが母は強し!…ってヤツか。
「しっかり勉強してたら、50点なんて普通に取れるよ」
しっかり勉強が無理だからな…。
それが出来ないのがオレの頭なんだよな…。
「ご苦労さん…」
明美が部屋に戻ったのを確認して、オレはアキラの元に行った。
「隣の部屋で盗み聞きなんて…出てきて一緒に叱ってくれなら良いのに」
「そうなんだけどさ。オレ絶対明美の肩持っちゃうし…」
それは、明美の為にならないと思ったから黙ってました。
「でも、まさか、じーちゃんにまで根回ししてるとは思わなかったぜ」
「君みたいに蔵に忍び込んだりしたら、申し訳ないからね」
あ~~小遣い欲しさに忍び込んだアレね…。
思えばアレが全ての始まりだったんだよな…。
「お義母さんが言ってた意味が解ったよ…」
アキラが溜め息をついた。
お袋が言ってたんだよな。
中身がヒカルに似てきた…学力までヒカルに似ないか心配だって。
お袋の予感は的中してしまった訳だ。
「怒っても…思っても…堪えないし…。碁への情熱は問題ないんだけど」
ホントに、頭の中がオレに似たよな…。
もう明美の将来はプロしかなさそう。
小遣いの為、オレが明美なら光明に教えてもらうかな。
さあ、明美はどうする?