女王様を手に入れろ! 36
(恵サイド)

「藤ノ宮、忘れ物」

教室で次の授業の準備をしていたら、光明君に呼び出されてビックリした。

「お前、碁の勉強より算数の勉強した方が良いぞ」

えっ?

「………っっっ!!」

そ、それ、私の答案用紙。
どうして、光明君が持ってるの~?
しかも、間違いだらけの答えも見られたみたい?

「……見たの?」

恐る恐る聞いてみる。
どうか…見られてませんように!!

「お前が上から降ってきた時に、落として行ったんだろうが……」

そうでした……。
今日も階段から落ちたんです。
しかも、持ってた荷物をバラ撒くというオマケ付きで…。
でも、などうして、答案用紙なんて挟まれてたんだろう?

「あっ、でも進藤君の上には落ちなかったよ」

目の前には落ちたけど…。

「そういう問題じゃないだろ」
「ハハハ…」

光明君の言う通り、そういう問題じゃないよね。
もう笑って誤魔化す。

「それに、間違いだらけの答案なんか見たくない!」

あ~~~やっぱり見られてた~~。
恥ずかしいっっっ!!!





「ちょっと恵、アンタ、進藤君と知り合いなの?」
「そう言えばこの前、隣のクラスの進藤明美ちゃんと話してるの見たよ」
「進藤明美ちゃんって、進藤君の妹さん?」

クラスの子からの質問攻めにあって、光明君に囲碁を習ってること、明美ちゃんと友達になったことを話した。

「気を付けなさいよ、進藤君、上級生に人気あるんだから」

上級生の女子に人気がある光明君。
囲碁を教えてもらってることが上級生に知られたら…ちょっと怖いかも、
気を付けよう…。

「進藤君と言えばさ~」
「なによ?」
「中学どこ行くのかな?」

今度は中学進学の話しか…。
光明君の5年生だし、もうそんな話が出ても可笑しくないのかな。

「それは…やっぱり海王中だよ」
「だよね~。進藤君がこんな公立にくること自体間違いなのよ」
「確かに…」

そうだよね…。
光明君は海王中に行くよね。
私の頭じゃ海王は無理かも?
このまま同じ中学に上がれると思ってたけど…甘かったのかもしれない。

「あとさ~プロにならないのかな」
「あっ、それ、私も思ってた。」
「進藤君のご両親、メチャクチャカッコイイよね」

うん、それは認める。
実物見ると、もっとカッコイイから。

「うちのお祖父ちゃん碁か好きでさ、聞いてみたことあるんだけど、凄く強いらしいよ。夫婦でタイトル争いしてるって」
「うわ~~凄いっ!」
「両親がそんなにつよかったら、進藤君もきっと強いよね」

うん、強いよ!
たって、普通に私に教えられるぐらいださら。

(そう言えば、光明君からプロの話なんて出たことないな……)

やっぱりプロになるのかな。
光明君なら、受けたらすぐ受かるだろうな。

そんなことより、解ってたことだけと皆、光明君の話になると止まらないね。
それだけ人気があるってことなんだろうけど。





私がボーッとそんなことを考えている間も、クラスの子達の話は休憩時間が終わるまで続いた…。


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