女王様を手に入れろ! 34
(緒方サイド)

突然、俺の回りが慌ただしくなった。
先生にお見合いを薦められまくっているからだ。

なんでもアキラ君の娘、明美が、俺のお嫁さんになろうかなv…と、言い出したかららしいが、8才の子供の言うことを間に受けて、家族総出でお見合いを薦めてくるなんてどうかしてるぞ。
アキラと君まで、早く結婚しろ!…沢山の彼女の中から選べば良い…とか言ってくる。
失礼な!付き合う期間が短いだけで、しっかり別れてから次の女と付き合っている。
最近はな……。
……ゴホン。

まあ、そんな事情で最近は塔矢邸に極力顔を出さないようにしているのだが、どうしても先生に会わないといけない時は、明美に会わないようにしている。
それでも、よく遭遇してしまうのだが…あれだけ避けてるのに何故だ。
バレンタインといい…今日といい…。

しかも、明美がとんでもないことを言い出した。





「緒方さん、私をお嫁さんにしてください」

………………
……………
…………
………
……


なななななななに~~~。

じじじじ冗談だろっっっ!!!
とうして俺なんだ?
何故、親以上に年の離れた俺なんだ?
娘ほど年の離れた女など、当然だが許容範囲外だ。
アキラ君は、どういう教育をしていんだ?

あっ、不味い……。
家族全員に、明美のあり得ない言葉を聞かれてしまった。

進藤が卒倒している。
…気持ちは解るぞ。
俺も進藤と同じ立場なら、進藤と同じことになっていたかも。

だが、アキラ君。
進藤を抱き締めながら、オレを睨むのはやめてくれ。

所詮8才のガキの戯言だと思って、先生達が焦る姿をバカにしていたのだが………これは不味いかもしれない。
今年のバレンタインの時、アキラ君そっくりな顔でチョコを渡され断れず、更に不覚にも美味しい…と思ってしまい、焦りを感じて伴侶探しに本腰を入れ始めたところだったんだが…。

そう言えば、アキラ君は思い込みが激しく突っ走る所があったな…。
進藤も同じようなところが…ないとは言えないか。
なんの知識もないのに、いきなり院生になりたい!…言って棋院に乗り込んで来たことがあったな。
そんな2人の血を引いている訳だから、もしかしたら諦めが悪いんじゃないのか。

(……………)

師匠の娘で可愛いがってきたアキラ君そっくり明美に押されたら断れないかもしれない。
情けない話だが、バレンタインのチョコが良い例だ。

それに俺がアキラ君の娘に言い寄られてると噂が、棋院で立ち始めている。
一体、誰がそんな噂を流した。
芦原か?
もしそうなら許さん!
それから俺は更に更に更に、真剣に本気で伴侶探しに力を入れた。
もう結婚するしか諦めてくれそうにないからな。





それから約10ヶ月後。
なんとか一緒に暮らせそうな女性と出会って結婚した。
これで、アキラ君や先生からの結婚圧力から解放される…と、喜んだのは言うまでもない。
アキラ君を始め進藤家も揃って出席してくれたのは良いが、皆やつれてないか?

俺の結婚が決まって進藤の家では一悶着あったらしいが…そのせいか?
まあ、そんなことは知ったことではないがな。


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