女王様を手に入れろ! 21
(アキラサイド)

今、ヒカルと新婚旅行で因島に向かっている。
ヒカルのいう通り、僕のスケジュール調整が大変だったけど、なんとか2泊3日で休みをもぎ取った。





「~~~~~!!!!!」

で、せっかく新婚旅行なのに広島についてから、道行く女性達の視線かヒカルに向けられている!!

ヒカルはファッション誌のモデルをやったりしてるから、女性に人気があるとは聞いていたけど、まさかここまでとは。
しかも、最近テレビCMにまで出たから、更に人気が上がっているらしい。
結婚を発表しても、この有り様だ。

ちなみに僕は、そういう系統の仕事は極力断ってる。





「えっー新婚旅行なんですか」
「ええ、まあ…」
「まだ若そうなのに、その年で結婚してるなんて凄い~」
「……………」

最悪なことにヒカルが女性に声をかけられて、まんざらでもなさそうなんだ。
新婚旅行だと解っても声をかけるなんて!
デレデレするヒカルもヒカルだ!

「~~~~~っっっ!!

耐えられなくなって、ヒカルに気付かれないように、その場を離れた。





可愛い女の子にデレデレして……っ!!!

………………っっっ!!!

ヒカルが、あんなに女性にモテるなんて知らながった。
そういえば、奈瀬さんが言ってたな……。

進藤はモテるのよ……って。

こういうことだったんだ……。
結婚してから知るなんて、なんだか情けない……。

ヒカルに言い寄ってた子、藤崎さんタイプの可愛い子だったな…。

……やっぱりヒカルは、ああいう子がタイプなんじゃないだろうか。





「アキラっ!」

呼ばれて視線を向けると、息を切らせたヒカルが目の前にいた。
相当、僕を探し回ったんだろ。

「やっと、見つけた……。急にいなくなるなんて、ビックリするだろ」
「どこに行こうと、僕の勝手だろ」
「どうしたんだよ?お前」
「あの子とは楽しんだ?」

僕が何にたいして思ってるのか解らないという顔をするヒカル、
それも当然だ)ね。
これは、ただのヤキモチなんだから。

「あんな女にデレデレして!!僕なんかより、その子と一緒になれば良いだろ!!いつでも離婚してあげるよ」

あっ、ヒカルと別れたくなんかないのに、また余計なこと言っちゃった……。
どうしよう……。

「離婚?ふざけんなっ!オレがお前を好きなの知ってるだろ!!やっと結婚出来たのに手放すわけないだろ!!」
「でも……君は藤崎さんみたいな可愛い娘が好みなんだろ!!」
「なんで、あかりがてでくるんだよ」

なんでって…それは…。

「お前…まだあかりのこと気にしてたりする?」
「………」
「自分より、あかりの方がオレに相応しいとか思ってたりする?」
「…………」

「あのな~確かにあかりは幼馴染みだけど、それ以上は何もないの!いい加減自信持てよ」

そう言って、ヒカルが笑う。

「でも……」

やっぱり自信ないかも……。

「じゃあ言わせてもらうけど、お前だってモテるんだぜ」
「えっ?」

僕がモテる?
そんな…まさか?

「男女問わずな。皆が噂する度に、いつか誰かと付き合い始めるんじゃないかって、オレはヤキモキしてた」

え?え?女性に人気?
それはないだろう?
だって……。

「僕、女流の間で良く思われてないと思うさど……」

奈瀬さんや先輩棋士の中には、良くしてくれる人もいるけど、後輩棋士にはよく思われてないみたいだから。
そのせいで、あんな事件が起きた訳だし。

「それは、お前に勝てない為の単なる嫉妬。囲碁界以外では、カッコイイ女性として大人気なんだよ。男は…美人だからかな…」
「そうなんだ……」

知らなかった……。

「お前って、碁以外のことは自分のことでも興味ないもんな…。このお陰で痛い目もみたし、助かったこともあったしな」

痛い目っていうのは、僕がヒカルの気持ちに気付かずに冷たくしたことを言ってるんだろうな……。
思い切り振ったし……。
その前にも色々……。

「もし、自分の気持ちに気付いてなかったら藤崎さんと付き合うことになってたんじゃないかって……」
「あのな~オレ達もう夫婦だろ」
「でも、いつか、僕と離婚して藤崎さんと一緒になるって言うんじゃないかと思って……」
「は~~~あ…いい加減にしろよ…お前…」

そう言うと、ヒカルは隣に座って僕を抱き締めてくれた。

「オレはアキラ一筋!!言ったろ。お前と結婚できなかったら一生独身貫くって。だから信じろよ」
「うん……」

ヒカルを信じよう。

「それにしても、アキラがヤキモチ焼いてくれるぐらいにオレに惚れてるなんてな~~」
「~~~~~////ッッッ!!!」

ヒカルの声が、とても嬉しそう。
改めて言われる言われると恥ずかしいかも。
君を誰かに取られたらどうしようと怖がるぐらいに、僕は君が好きだよ。


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