女王様を手に入れろ! 04
(ヒカルサイド)

「進藤!起きろ!今日は手合いだろ!」
「えっ?!塔矢?」

朝、塔矢の怒鳴り声で目が覚めた。

……そうだ…オレは昨日から塔矢の家に居候中だった。
オレは慌てて飛び起きた。



「起こしてくれたありがとな」
「ライバルの君と不戦敗が嫌なだけだ」
「あっ、そう……」

そうでした…。
コイツは碁が1番。
今日の対戦相手はオレ。
オレのことを心配してくれた訳じゃない。
……優しい奴だと思ったオレがバカでした。

「おはようございます」

うわ~~塔矢先生がいるよ……。
塔矢も目の前で御飯食べてるし……。
オレ、ホントに塔矢と1つ屋根の下に住んでるんだ。
改めて実感……。



「アキラさん、ヒカルさんに棋院まで道教えてあげるのよ」
「進藤は北斗杯の合宿で何度か来てるので必要ないですよ」
「何言ってるの初めての夫婦同伴出勤じゃない」



ピッキッッッ!!



……今、間違いなく空気が凍った!!
……明子さん何を言い出すんですか?
塔矢先生と親父が盛大に噎せてる……。

「冗談は止めてくださいっっっ!!!」

ふざけるなっっっ!! ……って、ならなかったのは親の前だからか?
それとも、あれってオレ限定?

「行ってきますっっっ!!」


そう言い残して、塔矢は出掛けていった。
凄い音したけど、玄関の引戸大丈夫かな?



「あこちゃん…初日から煽り過ぎ…。あれじゃ益々、アキラちゃん意固地になっちゃうわ。それでなくてもヒカルには勿体ない子なのに……」
「何言ってるの!みっちゃん!アキラさんにはヒカルさんがお似合いなの!ヒカルさんしか、アキラさんを手懐けられる男の人なんていないわ!」

手懐ける……って明子さん……。
寧ろオレが手懐けられそうなんですけど……。

あっ、お袋と明子さん……もしかしてオレ達をくっつけようとしてる?
嬉しいけど、もう少し違う協力をお願いしたいです。



……と、とにかくオレも出掛けよう。





塔矢の家を出た少し行った所で、怖い顔で立っていた。
オレを待っててくれた…なんてことはないよな。
ハハハハハ……。

「緒方さんや囲碁関係者には、僕の家に居候してることは内緒にしてもらう」

ほら、来た。
もう変な期待は持たないぞ。

「もし僕と一緒に暮らしてることが知れたら、これを棋院にばらまくからな」

塔矢が1枚の写真を出してきた!!
何?写真??
その瞬間。

「…………っっっ!!」

それは……オオオオ…オレの黒歴史!
何って………じょじょじょ…女装写真……。
佐為にも見せたことないのに……。
よりによって、1番知られたくなかった塔矢に知られてしまった……。

「そ、そ、そ、そ、それを…どこで…?」
「君のお母様から貰った」

お、お、お、お、お袋! なんて物を塔矢に渡してるんだよ!
塔矢に弱み握られたら、これからが大変だよ……。
恨むぜ……お袋。

「もう写真は保存してメール設定はしてあるからな」
「…………」

そうですか……準備のよろしいことで………。

「全力で秘密にさせてイタダキマス………」
「よろしい!」





威風堂々な塔矢とは逆に、意気消沈で手合いに向かうオレ。
もちろん棋院に入るのも別々。

そして、今日の対局は中押しで負けた……。

くそぉぉぉ~~~~。


NEXT




Page Top