「と、塔矢、オレお前が好きだ!」
「……寝言は寝て言え」
オレの告白は瞬殺されましたとさ………。
「………………」
その日の手合い勝ったオレを誰か誉めてくれ。
これ以上、塔矢に見捨てられたくないっていうオレの意地よ。
「進藤……。塔矢に告白するなんて……無謀だな」
「あんなヤツに告白したら玉砕に決まってるだろ」
「塔矢って美人で棋力も化け物並なのに、色んな感情欠落してるのよね…天は二物を与えずってヤツかしら」
「進藤ってバカ……」
上から、伊角さん…和谷…奈瀬…越智。
ああ……判ってるよ!!
オレがバカだったんだよ!!
塔矢に告白なんて……。
アイツはオレの棋力しか見てないのは解ってたよ!
でも、初めて会った時に一目惚れしたんだから仕方ないだろ。
それから、死に物狂いでここまで来て、アイツのライバルになって……。
「それ以上を求めたらダメなのかよ……」
贅沢ってことなのか?
更に、家にトラックが突っ込んで、ローンの残り25年の我が家全壊。
ちなみに、お袋から連絡があった時、また和谷達と一緒にハンバーガー食ってて、場の空気が凍ったよ…。
そんでもって、和谷達が家全壊のニュースを棋院で広めてくれやがった!
余計なことしてくれたな!
覚えてろよ!
で、あれよあれよと言う間に塔矢邸に居候決定。
親父と塔矢先生が親友だなんて聞いてないぞ。
親友なのに碁のこと全く知らないってどうよ。
もう…何が何だか……。
早碁が得意なオレの頭も着いていけません……。
思考停止!放棄!
そんなことを思ってる間に、オレが使わせて貰う部屋に案内されていた。
和室だけど洋室風に改装されている部屋だった。
「ヒカルさんのお部屋、洋室だったのよね?和室でごめんなさいね…。」
「い、いえ、お気遣いなく……」
明子さんの気遣いは、とっても有難い。
てか、とても嬉しそう……。
でも、オレの心はそれどころではない。
「アキラさんの部屋は向かいよ」
「あ、そうですか……ハハ……」
もう……何か……乾いた笑いしか出て来ない……。
塔矢からの視線が痛い……。
振られたヤツと1つ屋根の下。
佐為に憑かれてもやってきたオレだけど……流石に今回はキツイ……。
ここで、生きて行けるんだろうか……オレ………。