オレは今、地の底まで落ち込んでる。
こんなに落ち込むのは、佐為が消えた時以来だ。
一世一代の告白を塔矢のヤツ無視しやがった!
何を馬鹿なことを言っているんだ?
…ってな感じで、あれは告白だとは思ってないな。
その上更に……家にトラックが突っ込んでで全壊したんだよ。
何でも大黒柱に欠陥があったとかなんとか……。
「大丈夫か?進藤………」
「大丈夫に見える?和谷」
「だよな……。塔矢にフラれた上に家全壊だもんな…」
「コラッ、和谷」
思い出したくないことをサラッと言う和谷を嗜めてくれる伊角さん。
相変わらず優しいな……。
傷に塩を塗られた気もするけど事実だからしょうがない。
ホントに俺って運無さすぎ。
「………それで、これからどうするんだ?」
「1人暮らししようかとも思ったんだけどダメだって言われてさ……。建て直しが終わるまで、親父の親友の家に居候することになった」
「そうか……頑張れよ」
「おう!」
正直何をどうしたら良いのか解らないけど、塔矢のライバルの地位だけは守ろう!
●〇●〇●〇 ●〇●〇●〇●〇
「居候させてぐれる知り合いが親父達にいたなんてな」
「幼馴染の親友でね……。ニュース見て連絡くれたの」
「親父も年だし世話になるのも気が引けてたから、正直助助かったよ」
「ふ~~~~ん」
俺は今、居候するという家に向かってるんだけど、家族3人共居候させてくれるなんて、凄い幼馴染なんだか。
………………ッッッ!!!
ちょっと、待て!
この道って……………塔矢の家に向かう道じゃなかったか?
いや…いや…いや…。
そんな筈はないよ。
ただのサラリーマンの親父と囲碁の重鎮の先生が親友なわけないよな。
「着いたぞ、ヒカル」
車の止まった先は………塔矢の家だった。
ハハハハハハ…………。
「よく来たな。正夫」
「悪いな家族で世話になることになって…」
「困った時はお互い様よ。それに、結婚後みっちゃんとお隣さんになるこが夢だったの。叶って嬉しいわ」
両親が挨拶を交わしてる横で俺はフリーズしている。
オレ、昨日、塔矢にフラれたばっかりなのに、これから塔矢と、1つ屋根の下って何かの罰ゲーム?
ドッキリ?
それとも拷問?
「アキラさん、進藤君御家族がいらしたわよ。挨拶しなさい」
数分後、塔矢が出てきた。
「はじめまして、アキラです」
うわ~~~思い切り営業スマイル。
「………………ッッッ!!」
俺の方を向いたと思ったら戦闘モードで睨むし………。
オレ、これからどうなるの?
…………正直言って……逃げたい……………。
…………佐為、オレ何かした?