進藤家の秘密 25
(アキラサイド)

今日は実家で塔矢門下の親睦会が行われているのだけど、彩は緒方さんを捕まえて打っていて今終局したところ。

「今日も負けちゃった」
「まだお前には負けん」

9歳の女の子にお前って、緒方さん素が出てますよ。
彩も子供の振りが上手いね。
将来、女優になれるんじゃない?

「あんな無謀な手を打つから、最終的に負けるんだ」

まだまだ甘いなって軽くドヤ顔してるけど、ワザとだと知ったらどうなるんだろう?
無謀な手って言ってますが、妙手だったことは緒方さんも気付いてますよね?
途中で彩がワザと手順を間違えてるから助かってるだけですよ。

「緒方さんと彩ちゃんと仲良いよね。将来結婚とかありかもね」

ビッキッ!!

間違いなく場の空気が凍った。
彩と緒方さんは碁石を片付けてる手が止まったし、お父さんなんてフリーズしてる。

「あああ芦原、何を言い出すんだっっ!」

珍しく緒方さんが狼狽えてる。
芦原さん、酔ってますね?

「えっ?だって、子供は嫌いだって言ってる緒方さんか、彩ちゃんの面倒を良く見てるしゃないですか」
「それがどうして、さっきの発言になる?」
「えーっ、紫の上計画とかあるじゃないですかぁ」

ビッキッ!!ビッキッ!!

「……………っっ!!」

更に部屋の空気が凍った、

(紫の上って…)

芦原さん、なんてこと言い出すんですか!!
彩と緒方さんて幾つ離れてたっけ?
僕と緒方さんが10歳以上離れてるから……。
もしかして、彩と緒方さんて30歳以上離れてないか?

(ありえない!絶対ありえない!)

市河さん(芦原さんと結婚してもややこしくなるから旧姓呼び)に、報告してシメてもらおう。

「〜〜〜〜〜〜」

彩の背中が震えてる。
あれは、絶対怒ってるね。
お父の見たら、後は頼んだって顔に書いてある気がするんだけど。
弟子のやらかしは師匠がなんとかしてください。
機嫌が悪くなった彩の相手が大変なのは知ってるでしょう。

(でも正直、緒方さんの扱い彩が1番上手い気がする)

彩言ったら手がつけられないぐらい怒るだろうから、絶対言わないけど。

ヒカルやがここにいなくても良かった。
いたらややこしいことになっただろうから…。





●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●





「緒方が光源氏だなんて紫式部に失礼ですよっっっ!!!」

家への帰り道、彩は物凄く怒っていた。
でも、自分が紫の上に当てはめられたことは怒らないんだね。

「アキラ、ヒカルに電話したいのでスマホ貸してください」
「さっきのこと話すの?」
「まさか、そんなことしませんよ」

僕がスマホを貸すと、早速ヒカルに電話をかけた。

「あっ、ヒカル。今京都でしたよね?帰りにチョコ入りの八ツ橋と生八ツ橋と、宇治抹茶のバームクーヘンとステラおばさんのクッキーを買ってきてください。クッキーの種類は何でもいいですけど、チョコチップとバダースカッチは絶対入れてくださいね」

スマホの向こうから、はあああ?って大きい声が聞こえたけど、彩は構わす電話を切った。

「そんなに食べたら太るよ…。それにステラおばさんなら、こっちでも買えるでしょ」
「ついでです。アキラにもお裾分けしますし、碁でカロリー消費しますから大丈夫ですよ」

緒方さん、益々彩の遊び相手になりそう。
もしかしたら芦原さんも入るかもしれないけど、芦原さんは自業自得だから知りません。


Continue

●オマケ●

「もしかしてリアルタイムで光源氏読んでたりした?」
「…さあどうでしょう」
「紫式部に会ったりは?」
「…秘密です」

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芦原さんごめんなさい。(ジャンピング土下座)

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