「彩が緒方さんと結婚するなんて…」
アキラが涙ぐんでる。
(えつ?私が緒方と結婚?)
どとどどどういうことですか?
冗談でしょ?
ふと鏡に映る自分を見ると成長していて、ウエディングドレス着てるんですよ。
何故?
と思ったら、場面が切り替わって…。
「それでは近いのキスを…」
牧師さんが可笑しなことを言ってます。
私と緒方がキスなんて…。
絶対っっっ!!!
「イヤで〜〜〜〜〜〜〜すぅぅぅ!!!」
私の絶叫が響き渡って…。
ハッ!!!
目がパチリと開いた。
(ここは…)
見渡してみると私の部屋でした。
(夢だっんですね…)
良かった…。
(こんな悪夢を見たのも、やっと芦原のありえない発言を忘れていたのに、幸子ちゃんが見せてくれた絵が原因かもですね)
今日は学校が休みで、芦原の家に遊びに行ったんですけど、そこで娘の幸子ちゃんに私と緒方さんのツーショットの絵を見せられんですよ。
「緒方のおじさんと彩ちゃんて仲いいよね」
はっ?
何処をどう押せば、私と緒方が仲良く見えるんですかっ!
寝言は寝て言ってください。
絵は素晴らしかったんですけどね。
幸子ちゃんは碁打ちより漫画家になりたいらしいです。
まあ、そんなどうでも良いですよね。
気を取り直して、寝ることにしましょう。
…………………………
……………………
…………………
………………
……………
…………
………
ダメです。
眠れません…。
目を閉じると夢のあのシーンが目に浮かぶんです。
碁の神様、私が何かしましたか?
(……………………)
アアアアアキラ〜〜助けてくださ〜〜〜っっっ!!
●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●
「アキラ〜〜〜」
「どうしたの?」
アキラの部屋に行くとアキラは棋譜並べ中でした。
「夢を見ました…」
「夢?」
「緒方と結婚する夢」
「あ………」
アキラが遠い目をしてます。
夢如きでこんな情けない姿を見せるのは不本意ですが、あんな悪夢なら許されると思います。
「大丈夫だよ。一緒に寝ようか」
「ても勉強中だったんでしょう?」
「今度、彩が打ってくれたら良いよ。正直棋譜並べより勉強になるし」
もちろん何度でも打ちますよ。
「さあ、寝ようか」
私とアキラは仲良くベッドに入りました。
(あれ?そういえば、ヒカルは今日帰ってくるんてしたっけ?)
そんなことを思いながら、私はあっという間に眠りにつきました。
「ただいま…って…おおっ!」
深夜に帰ってきたヒカルが、私達がくっついて寝てるのを見て
「滅多に見れない光景だな♪」
と思って、私達を起こさないようにスマホで写真を撮って待受にしたそうて、それを知った消して欲しい私とアキラVS 消したくないヒカルの戦いが勃発しました。
「恥ずかしいから消して!
」
「消してください」
「ヤダ」
「師匠命令です」
「知るか!滅多に見れないスベシャルショットなんだぞ」
「じゃあ、せめて、待受にするのやめてください」
「待受止めないと、これからは彩と寝るよ」
「それはヤダ」
アキラのこの一言で、ヒカルは待受設定を外してくれましたかけど消してはくれませんでした。
アキラと一緒に寝られないのが、ホントに辛いんですね。
全くもう…。
この後、塔矢門下の勉強会でアキラが…
「芦原さん、僕の前では禁酒でお願いしますね」
と、絶対零度の微笑みで言ってくれました。
「えっ、何で?」
「問答無用です!」
芦原は不思議そうな顔をしていましたけど、芦原が酔っぱらうとロクなことごないと解ったので当然です。
緒方も当然だろって言いたげな顔をしていましたが…同じ意見なのが何だか不本意ですね。
もうあんな恐ろしい夢は懲り懲りです。