進藤家の秘密 23
(彩(さい)サイド)

皆さん、お久し振りです。藤原佐為改め進藤彩(さい)です。

ゴホッ、ゴホッ…。

只今、風邪ひき中です。
寒くなってきたのに、薄着で夜遅くまで検討してたのが不味かったのかも。
中身は1000才以上でも身体は9才なんですよね……反省。
行洋から面白い棋譜を見せてもらったのが原因ですよ。

「佐為、大丈夫?」

アキラがお粥を持ってきてくれた。

「なんとか…」
「お粥食べられそう?」
「ええ…」

アキラの作ったお粥は美味しいですねぇ。
元気になれそうです。

「アキラ、仕事はどうしたんですか?」
「取材だけだから日程変更してもらったよ」
「すみません…」
「気にしなくていいよ。君は僕の娘なんだから」

その通りなんですけど、アキラのスケジュールはとんでもなく過密で今、日の取材も少ない休みを返上したのかと思うと本当に申し訳なくて…。

「そんなに落ち込むなら、遅くまで検討なんてしないでね」
「気をつけます…」
「ヒカルも出発ギリギリまで彩の傍にいたんだよ」

「行きたくないな…」って顔して出掛けたのでしょうねぇ。
目に浮かびます。

「こんなに大きく体調崩したのは2才で倒れた時以来だから、本当に心配したんだと思う。もちろん僕もね」

ああ…あの時ですが…。
行洋に初めて碁石を持たされた時ですね。

「あの時は大騒ぎで大変だったな…。母さんなんて「行洋さんが碁を教えようとしたからですよ」って凄く怒ってたたし」
「……………」

暫く会話がなくて、行洋が地味に落ち込んだとか。
明子は怒らせると怖いんですよね…。

「まあ、母さんは孫こそ、碁に無縁の人生を送らせたかったみたいだからね…。絶対、無理だと思うけど」

そう言って、クスッと笑うアキラ。

(私から碁を取り上げるなんて、絶対無理ですよ)

あの時、佐為だった頃の記憶が頭の中に流れてきて、頭が容量を越えたんだと思うのですよ。

「3日間も熱が下がらなくて…。検査しても原因は解らない。なのに目覚めたら何事もなかったようにケロットしてたし。結局知恵熱で落ち着いたけど」

アキラ達が心配してる頃、佐為と人生と彩の人生を夢で見て色々整理してたんです。
高熱に魘されて大変でしたから、知恵熱で間違えてないかも?

「理由が解ったから今は笑い話だけとど、あの時のヒカルは見てられなかったよ」

アキラも凄く心配してたのに、それを表に出せないくらいヒカルの狼狽えようは凄かったらしいです。

「ヒカルを悲しませるようなことはしないでね」 「その言葉、そのままお返ししますよ」
「そうだね。僕も気を付けるよ」

アキラや私に何かあったら、ヒカルは今度こそ大変なことになるかもしれません。
だから元気に長生きしますよー。
まずは風を治せないと!


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