進藤家の秘密 22
(彩(さい)サイド)

「彩…大丈夫?」
「大丈夫に見えますか…」

私は塔矢が出してくれたお茶を一気飲んだ後、机にくっぷしてしまいました。

皆さん、お久しぶりです。今は生まれ変わって進藤彩になった藤原佐為です。
どうしてこんなに疲れてるのかというと…実は運動会に向けてヒカルのスパルタ特訓の毎日だからです。
私、運動が苦手なんですよ…。



「あそこで転ぶなんて、オレの娘なのに信じられないぜ」
「運動会が一世一代の見せ場だったヒカルと一緒しないでください!」
「言ったな…」
「馬鹿な言い合いしようとしないで、ヒカルは今日大阪行きだろ。彩も朝ごはん食べないと遅刻するよ」

は~あ、こんなに運動した後に学校だなんて地獄ですよ。

「彩が佐為だと判る前は、ドジなとこも可愛い!って言ってたんだけどね」

塔矢がそう言って笑う。

そういえばそうでしたね…。
あの頃のヒカルは、回りが引くぐらいの親馬鹿全開でした…。
こんなことなら、佐為なことを黙ってれば良かったかもしれません…。
それもこれも喧嘩ばかりする2人が悪いのです!

「佐為、明日も特訓だからなっ!」

そう言い残してヒカルは出掛けて行った。
元々泊まり予定だったはずなんですけど、いつの間に日帰りに?
まさか特訓の為にスケジュールを変えたんですか?

「頑張ってね」
「助けてくれないんですか?」
「彩はもう少し運動出来た方が良いと思うよ」
「………」

助けてくれても良いではないですか!!
塔矢の意地悪っ!





●〇●〇●〇 ●〇●〇●〇●〇





そして、運動会当日。

嫌々ながらあれだけ特訓したから少しは成果が出ると思ってたんですけどね…。

(甘かった…)

出場した競技全てで転んでしまうという去年以上に酷い結果になってしまいました…。

(あんなに特訓したのに何故こんなことに…。お弁当食べてる時の空気が重かった…)

クラスの皆さんは「彩ちゃんだからしょうがないよ」って笑って済ませてくれたんですけど。
私が運動苦手なことは皆さん知ってますしね。

約1名、夜叉よような顔で私を睨んでるんですけど…。

(ヒカル…怖い………)

あんなヒカルは今まで見たことありません…。
塔矢はヒカルの隣で遠い目してるし…。

どうしましょう?
今日、家に帰ったらどうなることやら…。
(帰りたくないです)

ヒカルの機嫌が直るまで帰りたくないです。
こうなったら、明子の家に泊まりましょう。
最近2人の時間がなくてストレス溜まってそうですし、塔矢と2人きりになってイチャチャしたら、運動会のことなんて忘れてくれますよ。
そう、絶対そうです。
虎次郎も連れていきましょう。

それから、来年は絶対にヒカルが運動会に来れないように、外せない仕事を入れて貰えるよう緒方に頼んでみましょうか。



数日が経って家に帰ること、塔矢に凄く睨まれてしまいました。
相当ヒカルに付き合わされたのでしょうけど、私は知ってるのですよ。
塔矢もヒカルとイチャチャするのが好きだということを。
お膳立てしてあげないとダメだなんて…ホント手のかかる夫婦ですね~。


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