[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

進藤家の秘密 17
(アキラサイド)

「いつもはヒカルと一緒ですが、アキラとの買い物も楽しいですね」

楽しそうに笑う彩とは対象的に、僕はウンザリしていた。

「いくらなんでも買い過ぎだよ…」
「そうですかねぇ…虎次郎に似合うと思ったらつい…」
「虎次郎は直ぐ大きくなるから無駄になるかもしれないのに…」

こんなに買ってどうするんだ。
ヒカルのネクタイや、自分の服も沢山ある。

「…まあ、何とかなるでしょ」

楽観的だね…。
こういう所はヒカルに似たのかな?
…いやヒカルが彩に似たのか?
元々、こんな性格だったのか?

ネット碁で旋風を巻き起こしたSaiが、こんな人間だと皆が知ったら驚くだろうな。

「さて、次はアキラのドレスですね」
「えっ」
「明子から指令を受けてますから、行きますよ」

そう言う彩の笑顔が少し怖いかな。
そういえば、もうすぐ授賞式だっけ。
まさか…。

「もしかして、僕のドレスが本命なのか?」
「ええ、アキラが今度の授賞式で着るドレスを買うことを条件に、明子にワイ…じゃなかった…おこづかい貰いましたから、しっかり選んで買いますよ」

お母さん…また彩を買収しましたね。
彩もお母さんとは馬が合うのか、一緒になって悪乗りするんだよ…。
お母さんにおこづかい貰ったから、こんなに沢山の服を買ってたんだね。

「ドレスなんて前に着たもので良いじゃないか。着物も沢山あるし」
「何度も着回ししてるでしょ。いい加減にしないと同じ物だとバレますよ」
「バレても良いじゃないか…」
「よくないです!マスコミが目を光られてるんですから!!何を言われるか…」

前のめりになって、力説する彩、思わずに苦笑いする。
お洒落に興味のない僕は、よく彩とヒカルに怒られる。

「……だったら貸衣裳でも……」
「だめです!おこづかいを貰った以上、ちゃんと買いますよ」
「……」
「アキラさんのドレスを買うことしか買い物の楽しみがないわ~って、嘆いてますし」

お母さん…。
この前、五月人形と鯉のぼりを買ってたじゃないですか。

「行洋、がんばりましたからね~。将来囲碁教室やる時には助けて貰うことになってますし」

そう言って、微笑む彩。
いつの間に、お父さんとそんな話をしたんだ。
しっかりしてるというか…ちゃっかりしてるというか…。
ヒカルが知ったら泣くかも。

「なんで、オレじゃなくて先生に頼むんだよ~」

って…。

「さあ、行きますよ…アキラ」

意気揚々と歩き出す彩。
こうなったら、もう止められない。
これか暫く、着せ替え人形んだな…。

は~~~あ。

…というか……この荷物を持って歩く僕の身になってほしいのだけど…。

重い…。


NEXT




Page Top