進藤家の秘密 12
(彩(さい)サイド)

「いつ見ても美しいですね…」

私の目の前には7段の立派な雛人形が飾られてます。
アキラが生まれた時に買って毎年欠かさず飾られて、私が生まれた時に引き継がれた雛人形。

「お前、そんなのに興味あんの?」
「失礼ですね!ありますよ」

一応、今は女ですし、雛人形を見てると何だか昔を思い出しますから。
ヒカルは私を相当な囲碁バカと思ってますね。
まあ、間違ってはいませんけど。
そんな失礼なことをいう弟子には、お灸を据えないといけません。
覚えてなさい…ヒカル。

本当に豪華な雛人形で、毎年飾られるのが楽しみなんですが…。

(3日を過ぎたら、またバカな戦いが始まるんですよね…)

雛人形をさっさと片付けたい派と、しばらく出しておきたい葉…つまり言い伝え?を信じて、私を早く嫁に出したい派と出したくない派で、攻防戦が起こるのですよ。
ちなみに、さっさと片付けたい派が、明子。
出しておきたい派が、アキラを以外の行洋を含めた塔矢門下全員。

アキラはどっちでも良い…というか呆れてますね。
静観派という感じでしょうか。
アキラが物心ついた頃には既に始まっていたいたらしいくて…。

「僕が早く結婚したからか、お母さん益々拍車がかかったかもね」

と、アキラが苦笑いしてましたっけ。

(今ではヒカルは静観してますし、今年も行洋達は明子に勝てないでしょうねぇ)

私が佐為だと判るまでは、ヒカルも出しておく派で、明子もヒカルに弱いのか行洋達も勝てたんですが、私が佐為だと解ってからは静観派に回ってしまって、行洋達の勝率は下がる一方。

ヒカル曰く…、

「碁が打ちたいだけで1000年も幽霊やってた奴だせ。言い伝えとかジンクスとか平気で無視するって。中身男だしな」

……本当に失礼な弟子ですね。
まあ、ヒカルのいう通り中身は男ですし、その趣味はありませんのて結婚なんて考えられませんが…。

(私が大人になったら怖いですね)

きっと明子がお見合いをバンバン持ってくるでしょう。
どうやって断れば良いのやら…。

そんなことを今から考えても仕方がありません。
せっかく生まれ変わったんですから、今を楽しむのです。

と、いうわけで…。

「さあ、端午の節句用に鯉のぼりと五月人形を探しますよ」
「生まれてからでも十分間に合うと思うけど」

張り切る私に、アキラの呆れた顔とツッコミが…。
ええ、その通りなんですけど、今から吟味して素晴らしい物を虎次郎の為に用意しないといけませんから、時間はいくらでも欲しいですよ。

「さあ、明子の所に相談に行きましょう」

もちろん行洋と一局打ちますよ。

苦笑いしているアキラを横目に、私はウキウキ気分で明子の所に向かうのでした。



今年の3日は、門下生と家族全員集合の雛祭りパーディらしいです。
張り切る明子の姿が目に浮かびますね。


NEXT




Page Top