進藤家の秘密 09
(彩(さい)サイド)

「もう、彩と2人で仲良くしてろっ!」

バタンッッッ!!

「「…………っっっ!!!」」

塔矢が扉を閉める響いたんですが、扉が壊れそうなくらい凄い音で……。
あれは、相当怒ってますね。

「ヤバイ……」
「ヤバイですね…」

引きつらせた顔をお互いに見る私とヒカル。

「ああなると、中々機嫌が直らないんだよな…」
「そうですよね…」

仕事の後、暫くホテルに止まって帰って来ないでしょう…。
ヒカルと喧嘩した時の最近のパターンなんですよ…。

「あ~~も~~お前がなんとかしろ!」
「えーっ!どうして私が…」
「そもそもお前がオレに正体バラすから、こんなことになったんだろ」

なんですか、それ!酷い!
私だけのせいじゃないでしよ!

「ヒカルが喜び過ぎて、アキラをほっておいたのが悪いんでしょ」
「うっ…。そそいうお前だって完全に『佐為』だっただろ。オレだけのせいにするなよ」

た、確かに…私もヒカルに佐為であることを話して、ヒカルと昔のように接することが出来て嬉しくて、ついヒカルの前では彩であることを忘れてしまってましたけど。

「よしっ!こうなったら『佐為』のことを話すしかない!」

えっ?そんな急に言われても困ります。

「そんな訳で頼んだぞ。佐為」
「えーっ!?私が話すんですか」
「オレが話したら信じて貰えないかもしれないだろ。絶賛喧嘩中だし下手したら火に油だぞ」

確かにそうかもしれませんけど、夫として頑張ろうって気持ちはないのかと…思わなくもなかったり。

「娘に丸投げって…恥ずかしくないんですか」
「…お前は娘だけど佐為だからな」
「ヒカル~」

これは…なにを言っても私に任せるつもりですね。





そんなこんなで、今、私はホテルの前にいます。

(本当に世話のかかる夫婦ですね…)

お互い好き過ぎるぐらい好きなくせに、ライバルな気持ちが先に出て素直になれないですし。
アキラも自分の娘に嫉妬してどうするんですか…。
全く…。

は~~あ…。

溜め息をついても、バチは当たらないと思います。
まあ、今回は私にも責任がない訳ではないですから、仲直りしてもらう為にひと肌脱ぎますけど。
別れられても困りますしね。

…などと言ってる間に、アキラが泊まっているホテルに着いてた訳ですよ。

「さて、行きますか」

私は覚悟を決めて気合いを入れて、いざ、塔矢が泊まっている部屋へ向かったのでした。


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