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進藤家の秘密 02
(アキラサイド)

「いってらっしゃい。ヒカル」
「いってきます」
「負けたら許しませんよ」
「解ってるよ…!」

ヒカルと彩の会話が聞こえてきた。





●〇●〇●〇 ●〇●〇●〇●〇





「おはよう」
「おはようございます」
そう言いながら、彩は私の前にコーヒーを置いてくれる。
「ヒカル、機嫌悪そうだったね…」
コーヒーを飲む手を止めて、彩に声をかける。
「起きてたなら見送ってあげれば良いのに…」
「だって…僕が出てきたら、また喧嘩になりそうだから…」
「………」

僕の前に朝食を準備してくれているのは、僕とヒカルの彩(さい)8才。
…なんだけど、8才児には見えないほど大人びている。
その理由が、前世の記憶があるからだ。
彩の前世が、神の一手を極めたいと思うがあまり1000年幽霊となって現世に留まり続けて、ヒカルに憑りついた平安時代の碁打ちで秀策だなんて、誰が信じるかって感じだけど…僕が初めてヒカルと打った棋譜を並べられたりしてるうちに信じるしかなくなった。

ヒカルは泣いていたっけ…。

僕に佐為のことを話しておいて良かったって笑った。

それからの彩は、僕達の前では佐為として接してくるようになった。
8才児の振りは疲れたらしい…。
呼び方は外で名前で呼ぶと大変なことになるから、お父さん、お母さんにしているらしいけど、怒ると名前で呼ばれる。
それで、彩が怒るのは僕等が喧嘩をする時だ。
で、さっきヒカルを名前で呼んでたということは…?

「怒ってる…よね?」

娘にこんなにビクビクする母親なんて、他にいるだろうか。
けど、怒った彩は怖い。
ヒカルなんて、あっという間に一刀両断されている。

「本因坊戦までには仲直りしてくれると思ってたんですけどねぇ…」

彩の微笑みが怖い…目が笑ってない…。

僕とヒカルは只今喧嘩の真っ最中だったりする。
原因はヒカルの手合いの棋譜があまりも不甲斐なかったものだから、検討中に大喧嘩になって険悪なムードになった数日後、週刊誌に僕が男の人と写った写真が載ってしまったから火に油を注ぐ結果になってしまった。
写真は偶然に撮られたものだということ解ってくれてはいるけれど、ヒカルが話しかけてくることはない。

「いつも自分が折れてばかりだから、ヒカルも今回は意地になってるんですよ」
「ごめん…」
「本当にそう思ってるのだったら…」

ドンッ!

謝る僕の前に大きな旅行カバンが置かれた。

「えっ?」
「謝るくらいならタイトル戦会場に行って仲直りしてきてください!塔矢が謝れば即仲直りです。明後日までオフでしょ」

えっ、今から?
というか、その荷物いつの間に詰めたの?

「ああ、ちなみに仲直りしてくるまで家へは出入り禁止です」

とか言ってる彩の手には僕のキーホルダーが…。
いつの間に取ったんだ…。
というか…子供に閉め出しされる親なんているのか?

「あっ、ご心配なく…仲直りするまで、精次おじさんところでお世話になるので」

彩を1人で家に残して行けるわけないだろ…と言おうと思ってたのに、先手を打たれてしまった。
緒方さんで遊ぶのだろうな…・。
ごめんなさい…緒方さん。

「………」

勝てない…。
こうなったら大人しくヒカルの所に行くしかなさそう。
せっかく彩が作ってくれたチャンスだから、ちゃんと仲直りしよう。



そう決意して、僕はヒカルの元へと向かった。


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