ONE YEAR 07
(昇サイド)

「おじゃましまーす」
「あっ、のぼるにーたんだっ!」

和谷お兄ちゃんの家に入ってすぐに、息子の義重君が笑顔でトテトテと僕に向かって歩いてくる。
3才って言ってたっけ?

(可愛いな…)

今日は無事に僕の所まで来てくれてホッとした。
いつも僕に向かって突進してくるんだけど、目の前で躓いたりするからヒヤヒヤするんだよね。
そんな義重君がんか可愛いくて堪らない…。

(早く妹が欲しいな…)

この気持ちを和谷お兄ちゃん達にに言ったのが、碁の特訓お泊まり会が、お父さんが家にいる時に行われるようになったんだ。




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「賀茂昇改め進藤昇です。よろしく」

和谷お兄さんの家に碁の特訓に行ったら、伊角お兄ちゃん、柰瀬お姉ちゃん、社お兄ちゃんもいて、僕が進藤昇になったお祝いを来てくれて、聞いてなかったから、凄く嬉しかったな。

「次はプロ試験合格のパーティーだな」

お兄ちゃん達はスケジュールを空けて待ってるとか…。
凄いプレッシャー。
でも、頑張るぞ!

その初めて一緒に遊んだ義重が可愛くて…可愛くて…。

「僕も妹か弟欲しいな」

って、思わず呟いたら和谷お兄ちゃんが…。

「なら、碁の勉強ということにしてオレのうちに泊まれば、兄弟も早く出来るかもしれないぜ」
「どうして兄弟出来るの?」
「えっ?あ…それは…」

不思議に思ったことをそのまま言ったら、和谷お兄ちゃんが困ったような顔になった。

「なに言ってるのよっ!」

奈瀬お姉ちゃんが、和谷お兄ちゃん怒ってる。

僕、なんか変なこと言った?

「気にしなくていいよ」

不安になる僕の頭を撫でてくれる伊角お兄ちゃん。

「……義重も昇に懐いてるしな。泊まってくれたら有り難いかな」

初めて和谷お兄ちゃんの家に遊びに来た時、義重君にとても懐かれてちゃって、帰るのが大変だったんだ。
僕も懐かれて楽しかったから辛かったな…。

毎週のように碁の勉強のお泊まりすることが決まったんだけど…。

「和谷だけズルいっ!」

伊角お兄ちゃんと柰瀬お姉ちゃん、社お兄ちゃんからクレームが出て、和谷のお兄ちゃんと伊角お兄ちゃんとにやることになったんだ。
あっ、伊角お兄ちゃんと柰瀬お姉ちゃんは一緒に住んでるだよ。
社お兄ちゃんの住んでる大阪は遠いから無理だってことになったんだけど、僕が泊まりに行く時、社お兄ちゃんは和谷お兄ちゃんや伊角お兄ちゃんの家に泊まりに来る。





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和谷お兄ちゃん達のお陰で碁の勉強をしながら、妹か弟が出きるのを楽しみに待ってたんだけど、お父さんは僕が和谷お兄ちゃん達の家に泊まるのは、自分と一緒に居たくないから?…と思ってるみたいで…そんなことないのに。

弟か妹のこともあるけど、10年振りに一緒に居られるようになったから、2人になったら喜んでるかな…と思ってたんだけど、そうじゃないの?
僕は好きな子と2人になったら嬉しいのに。

「そやったら、弟か妹楽しみにしてるって、進藤に言ってみ」

どうしたら良いかと社のお兄ちゃんに相談して、言われた通りの言葉を言ったら、お父さんはとても元気になりました。

その後、家に遊びに来た社お兄さんが、お母さんに怒られてたみたいだけど…どうして?

「塔矢、堪忍して~」

社お兄ちゃんの叫び声を聞きながら、僕はお父さんと打っていた。

「昇、あと何か月かしたら、弟か妹に会えるぞ」
「ほんと?」

お父さんに教えられた坊は、嬉し過ぎて飛び上がって喜んだ。

「昇は弟か妹、どっちがいいんだ?」
「どっちでもいいけど、お母さん似の妹がいいかな」
「おっ、意見が合うな」

年に1度しか会えない頃も、好きな物とかが一緒だな…思ってたけど、一緒に暮らしたら益々そう思う。

(生まれたらメチャクチャ可愛がるんだ)

楽しみだな…。

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