ONE YEAR 06
(ヒカルサイド)

「いただきまーす」

3人で食べる晩御飯。
アキラの手料理もメチャクチャ上手いし…オレ頑張ったな…幸せだなぁ。
オレが幸せを噛み締める瞬間だ。

塔矢先生達に挨拶した後、早速家探しを探して年内には一緒に暮らし始めることが出来た。
ちょこちょこ時間を見つけては、家探ししてたから、早く見つけることが出来たのかも。
昇の学校のことが心配だったけど、オレに似たのか新しい学校でも友達が出来て上手くやってるみたいでホッとした。
前の学校の友達とはメールでやり取りしてるみたいだ。
結婚式は…忙しすぎて、具体的な話にならないんだよな。
先生達との間に、何か気まずい空気が流れてる感じがすることもあって保留中。

そんな訳で、結婚式をどうするか以外は順風満帆な3人の生活なんだけど、ちょっと悩みもあったりする。


「あっ、明日は和谷君の所にお泊まりだったね」
「うんっ!碁の特訓してくれるって」

アキラの言葉に笑顔で応える昇。

「はっ、またかよ。先週、伊角さんとこに泊まったばかりだろ」

3人で暮らせるようになったのに、オレが家にいる時は、和谷や伊角さんの泊まりに行くことが多いんだよ。

「碁石を持って打つのって楽しい!」

と、院生になった頃、昇が言ってたらしい。

オレも今までネット碁ばかりで、実際に石を持って打つようになったのは院生になってからだから、色んな人と打ちたい気持ちは解るんだ。
解るんだけど…。
特訓ならオレだって…。
なんで、和谷や伊角さんなんだよ。
しかも和谷や伊角かんに「弟子にならないか?」と誘われてるとか。
冗談じゃない!昇は進藤門下だからな!

でもさ…。

「アイツはオレと一緒に居たくないのか?」

アキラと2人になったら、不安が声に出た。
待たせ過ぎて実は嫌われてるとか?
3人で暮らすことを急いだせいで嫌われたとか?
「実際に石を持って打つことが楽しい」って言ってるけど。ホントにそれだけか?


「そんなことはないと思うよ」
「そうかな」

落ち込むオレはアキラに慰めて貰うことにする。





●〇●〇●〇 ●〇●〇●〇●〇





それから1週間後。
今日はオレとアキラの仕事の都合で、昇は賀茂さんの所へ泊まりに行く。
またかよ…。
なかなか一緒に居られないことに落ち込む。

「ねぇ、お父さん、ちょっと」
「なんだ?」

耳を貸せ…みたいな仕草をされたから、昇に耳を傾ける。

「早く妹か弟をよろしくね」
「へっ?」

思ってもいなかった言葉にビックリして昇を見ると、オレに向かって笑顔でVサインをしている。

(あっ!)

もしかして、お前が和谷達や賀茂さんの所に泊まりに行ってたのは、オレとアキラを2人きりにするためだったのか?
そうならそうと早く言えよ。
お前に嫌われたと思って、どれだけ悩んだか…。

よしっ!
1日も早く期待に答えられるように、今まで以上に頑張るから期待してろよ。

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