緒方先生も棋士として必死にタイトル取ることに命かけてるんだから、邪魔って言葉は可笑しいな。
今まで悔しい思いをしたけど、今年こそ七大タイトルを絶対制覇する。
なんたって、最後に残ったのが本因坊だから。
これだけは、何があっても失えないからな。
今、3勝3敗で五分。
明日からの第7局に勝てば防衛と七大タイトル制覇が決まるんだ。
「本因坊を防衛して、アキラを嫁に貰うよ」
「今年も全力で阻止してやる」
「悪いけど、本因坊は誰にも渡すつもりないんで」
「フン…楽しみにしてるぞ」
そんな会話を緒方さんと繰り広げた後、部屋に戻って携帯を見ると、昇からメールが届いてた。
【頑張って!!】
の言葉と一緒に、アキラとのツーショットの写真付き。
おいっ!いつの間にこんな写真撮ったんだよ。
昇とツーショット写真なんて撮ったことないのに…。
アキラ凄い笑顔。
羨ましい…。
【追伸、悔しかったららお父さんも一緒に撮れるように本因坊防衛してね】
…って書いてある。
(…………)
ああ、絶対防衛してやる。
…………………
………………
……………
…………
………
……
そう思って挑んだ1日目だったけと、ちょっとした読み違えで緒方さんに押されたまま封じ手になってしまった。
(くそ~~っっ!!)
緒方さん…オレとアキラの結婚の条件知ってから、オレと対戦する時はそれまで以上の力で打ってる気がするんだよな。
「アキラ君を進藤なんかにやれるかっ!」
…っていうオーラをひしひし感じる。
(このまま終わってたまるかよ)
オレはホテルの部屋に引きこもって、なんとか気持ちを建て直そうとしていたんだけど、読み間違えたことがしょっくで、なかなか立ち直れないでいた。
七大タイトル制覇がかかった対局な上に本因坊戦だから、余計にプレッシャーがかかってるのかな?
(はああああ…)
思わず溜め息が零れてしまう、
「まだ挽回のチャンスはあるだろうっ!」
「へっ?」
オレしか居ないはずなのに、いきなり声がした。
「なんて?居んの?」
「そんなことはどうでも良い」
いや…良くないと思う。
お前、どうやって入った?
鍵は?
多分、和谷や芦原さんがフロント係に頼み込んだんだろうけど、バレたらフロント係ヤバイだろうな。
「今年こそ、七大タイトル取るって昇と約束したんだろ。僕達をいつまで待たせるつもりだ」
「アキラ……」
「流石に僕もこれ以上は待てないよ」
実は、アキラは明子さんからお見合い攻撃を受けている。
オレとのことも知ってて、もちろん昇
「ゴメン…。今度こそ取るから」
アキラと一晩一緒に過ごしたお陰で、オレは気持ちを持ち直すことが出来た。
翌日。
再開された対局は、粘って…粘って少しずつ、形成はオレの優勢になって…、
「…ありません」
ついに緒方さんが投了した。
その瞬間、全身の力が抜けた。
これで、やっとアキラと一緒になれる。
先生に改めて「アキラをください」って言いにいける。
やったぜ…っっっ!!