ONE MORE TIME 16
(アキラサイド)

うちの会社がスポンサーになって開催された棋戦は、進藤と色々バタバタしてる間にトーナメントは進み決勝戦を迎えた。

今日の決勝戦は観客を入れての大盤解説があるということで、僕は誰にも見つからないように小林さんと一緒にモニターで見ている。

「進藤本因坊、ここ最近調子良いですね」
「調子良いってもんじゃないよ。あれは…。準決勝で対戦したオレがいうから間違いない」
「何か良いことあったんでしょうか?」

聞き手の奈瀬さんと解説の倉田さんが、大盤解説で話している。

(倉田さん、余計なこと言わないでくださいよ)

僕がここにいることを倉田さんは知ってるから。
大丈夫だとは思うけど、解説中にポロっと言ってしまわないか心配だ。

「そりゃ良いに決まってるよね…」

小林さんニヤリと笑いながら僕を見る。

「塔矢と散々イチャイチャしてバワー注入してるんだもんねー」
「………/////」

恥ずかしい…。





「負けました」

伊角さんが投了して決勝戦が終わって、対局者の大盤による検討会もも大盛況。

進藤と倉田さんの漫才のようなやり取りが、会場を大いに盛り上げた。
ここでも僕のことを言わないか、少しだけ心配していた。

そして、あっと言う間に表彰式が始まった。

「有坂のヤツ、ドジ踏まないでプレゼンター出来るかな」

小林さんの顔には不安や心配という言葉が張り付いてる。

「有坂、緊張し過ぎて顔が強張ってるな」

うん。イケメンが台無しになるくらい強張ってる。

「続いてスポンサー会社様より賞金目録の贈呈です。

「あっ……」
「…ありがとうございます」

今、間違いなく何もない所で有坂さんが躓いた。
それを何事もなかったように、目録を受け取る振りをしてさり気なく支えたお陰で何事もなく表彰式は続けられた。

「本人も解ってるし、あれだだけ気をつけろって注意してもこうなるんだよな…」

小林さんがため息を零した。

「進藤本因坊に感謝しないとね。もう少しでアイツのドジが一生残るところだった」

この棋戦、専門チャンネルで放送されてるからね。
しかも生放送。

「進藤本因坊に何かお礼しないと。塔矢をお届けすれば喜んでもらえるよね、あっ、もう約束事してたりする?」
「………ハイ…/////」

昨日も確り僕の部屋の泊まって…

「明日、絶対優勝するからご褒美な♪」

なんて、ふざけたことを言ってた進藤。

ご褒美とは…そういうことをしたいということで…。
流石の僕でも解る。

「そんな腑抜けた気持ちで優勝を狙うなんて不謹慎だっ!」

と叱ってはおいたけど、あまり効果なさそう。

「じゃあ責任持って進藤本因坊にお届けしないとね」
「………」

全てが終わって小林さんに送ってもらった僕は、朝まで進藤とイチャイチャすることになったのだった。

(一局打って体力消耗してる筈なのに…元気だな)

全く…。



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