ONE MORE TIME 15
(アキラサイド)

「いつも貰ってばかりだから頑張ってみたんだけど、どう?」
「美味しいです」

小林さんに夕食をご馳走になってるんだけど、彼女の手料理食べるのは初めて。

「塔矢には負けるかもなー。塔矢が作るお弁当のおかず最高だから」

普通だと思うんだけど、小林さん達に何故か美味しいと言われて、よくつまみ食いされてる。
僕も美味しいって言われるのが嬉しくて、多めに作ってたりするんだよね。

「碁も料理も上手いなんて狡い」
「そんなことないですよ」
「これだけ上手いんだから、さっさと進藤本因坊の胃袋掴んじゃえば良かったんじゃない?」
「あっ……」
「でもそしたら、塔矢がうちに入社してくることもなかったし、こうなって良かったかもね」

小林さんに言われてハッとした。
思いつかなった…。
その手があったかも?

(あの頃、相談出来る人が居たら違ってたのかな…)

今更、考えてしょうがない。
この仕事と小林さんに出会えたしね。

「あ〜あ、塔矢の手料理食べられなくなるのか残念だな。また棋士の塔矢を見れるから…。うーん複雑だよホント」
「まだ先ですよ。棋戦も始まってないし引き継ぎとかもありますし」
「それでもやっぱり淋しいよ」

別れを悲しんでくれるなんて、僕も淋しい。
まだ決まってないから日比野さん達には言ってないけど、ど?なふうに思われるんだろう?
小林さんは僕のファンらしいから(勿体無い話だよ)、先に気付いてくれたみたい。

「そして、進藤本因坊と結婚かな」
「へっ?」

…………………。

「どどどうしてそうなるんですかっ!!復帰するだけですよ」

思わず叫んだけど、多分顔は真っ赤になってると思う。

「プロポーズされるんじゃない?覚悟しといた方が良いかもよ」

まさかそんな…。 進藤からプロポーズだなんて…/////

「あ〜〜〜あ、私の結婚はいつになるのやら。行き遅れたらアイツのせいだ」

アイツって…?

「将来有望だったプロ棋士の孫だからどんなに強いのかってワクワクしながら打ったら弱くて、腹が立って怒鳴ったんだよね」

有坂さんのことが。
僕にも覚えがあるな…。

「でもアイツ、めげずに挑んできて…。未だに負け続けてるんだよね」

中学の時って、約13年ぐらい前では?
その時からずーっと挑み続けてるって、有坂さん凄い。

「もう待ちくたびれて、逆プロポーズしてやろうかな」
「好きなんですね…」
「まあね…/////」

拗ねたり照れたりしてる感じの小林さんが可愛いな。

「私のことより、あれだけ頻繁に通ってたら、復帰よりも先に授かり婚することになったりして…ね?」

はあああああ〜。

「そんなことになる訳ないでしょうっ!!」

驚き過ぎて僕は叫んだ。
突然何を言い出すんだか…。
そんな僕を見て、小林さんは大爆笑していた。





●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●





「…という話を小林さんとしたんだけど…」

って進藤に話したら―

「その手があったかっ!」

進藤は目をキラキラさせて悪戯っ子のように笑った。

(あっ、もしかしてこれ不味いんじゃ…)

と思った瞬間…

「ちょ…ちょっと待って…こらっ…あっ」

あっという間に押し倒されてしまった僕。
このまま流されてしまうんだろうな…。

(まあ、それも悪くないかな…)



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