道標 02
(佐為サイド)

まさか、塔矢がこんなに早く此方に来てしまうなんて…。
ヒカルの成長に強さに嫉妬して、悔しくて自分を見失ってしまったのでしょうね…。
でも、此処に来るのは予定外なんですよ…。
慌てて止めても止まらなかった…と、神が慌ててましたし…。
神の力も跳ね除けてしまうとは、塔矢がそれほど追い詰められていたということなのでしょうね。
ここから見てただけですけど、何となくそんな気がします。
まあ、こうと決めたら止めても止まらないのが塔矢かもしれませんが。



さあ、神様からお願いされましたし、塔矢に戻ってヒカルと婚姻して貰わないと私も転生出来ませんから、ここは人肌脱ぎましょうか。
ヒカル、この貸しは大きいですよ。





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「私は平安時代の碁打ちで幽霊になって1000年現世彷徨い本因坊秀策として碁を打ち、ヒカルにとり憑いた藤原佐為で~す♪」

塔矢の顔を見た瞬間、此処に来てしまった彼女に腹が立つような…悲しくなるような…複雑な気分になり、思わず慌ててしまいました。
恥ずかしい…。
気を取り直して、明るく挨拶してみたら…塔矢の顔がみるみる険しく…あ…もしかしたら、あれが聴けるかもしれませんねぇ…。

「ふざけるなーーーッッッ!!!」

ほらね…。
懐かしいですね…ホント…。

「ふざけてなんていませんよ。信じられないでしょうけど本当のことです」
「…………」
「ちゃんと話しますから、そんなに睨まないでください。変わってませんね…本当に…」

何だか嬉しいですね。

「貴方は僕を知っているのですか?」
「ええ…ヒカルを通して見てましたから…。貴方のヒカルへの気持ちも知ってますよ」

ヒカルは鈍感だから気付いてないみたいですけど、私は気付いてましたよ。
私が消える頃には、貴方がヒカルを好きになっていたことを。

「さあ、あちらでお茶でも飲みながら、ヒカルのことを話しましょ」

そうして、私は塔矢に向けて微笑んだ。

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