夕食を作りながら、ヒカルと藤崎さんのことが気になって、思わず溜め息が漏れてしまう。
ヒカルと藤崎さん…どんな話をしてるんだろう?
ヒカルも幼馴染みの藤崎さんに説得されたら、プロになるのを諦めるかも。
大丈夫だとは思うけど不安だ。
僕の知らないヒカルを知る藤崎さんが、ちょっと…いや…かなり苦手。
ヒカルと藤崎さんお似合いだと思うし。
はあ~~~。
「お袋…あかりに教えるなんて、どういうつもりなんだよ!全く…」
あっ、ヒカルが帰ってきた。
「飯、出来た?」
「ふざけるな~~っ!」
不安な気持ちでいた所に、ヒカルが呑気にそんなことを言うから、思わず怒鳴ってしまった。
「な、なんだよ…」
僕の勢いに後ずさるヒカル。
「僕がどんなに不安だったと思ってるんだ。藤崎さんに説得されて諦めるんじゃないかって」
「なに言ってんだよ、あかりに説得されて止めるぐらいなら、最初から女として生活なんてしてないから」
解ってる…解ってるけど…やっぱり心配なんだよ…。
僕の気持ちも解って欲しい。
「あ~~泣くなよ」
「……泣いてないっ」
実際は感情が高ぶり過ぎて、気がつかないうちに涙が溢れてたみたい。
「それにさ、オレ、お前と以外と結婚する気ないから」
えっ?
……いきなり、なにを言うんだ。
「…/////」
予想外の手を食らって、形成不利になったような感じだよ。
「それにさ。アキラの料理に胃袋が捕まったから、他の手料理なんか考えられないし」
更に予想外の手を打たれてら形成不利になった気分。
「しかも掃除も洗濯上手くて美人だもんな…。アキラの以上の女はいないよ」
「……/////」
…もう投了…ノックアウト…。
あ~~照れるセリフをサラッと言うなんて。
ヒカルは時々こういうセリフを、サラッと言うんだよね。
そこまで言われたら、面倒見るしかない気がするんだよね。
でも…。
「家事はヒカルにも覚えて貰うらな」
「えーーーっ!」
「えーーーじゃない!覚えないと僕がいない時どうするんだ」
「……えーーーっ!面倒くさい」
「問答無用!」
将来の為にも、しっかり覚えてもらうからな。