アキラが家に来てくれない間、レトルト食品で済ませていたことがバレて、怒られてます。
「だって、面倒臭いんだもん」
「だもん…って、それでも男か!」
「今は女だもん」
「………」
ゴミ箱だけでも片付けておけば良かったかな。
あっ、もちろんというか…部屋も散らかしてて…怒られました。
「面倒って…体調管理も棋士の仕事だそ。解ってるのかっ!」
2人でいるとアキラのお説教も心地良いよな。
買い物も楽しいし。
「聞いてるのかっ!」
ニヤニヤしてたら、また怒鳴られた。
「オレの体調管理はアキラに任せる。おまえの料理美味いしな」
ホントにアキラの料理は上手いんだよ
「////…煽てても何も出ないよ」
おっ!照れてる。
「煽ててないぜ。ホントのことだし」
「////…」
更に照れて真っ赤になった!
かわいいな~~~ホント。
早く家に帰って、アキラの手料理が食べたい。
でもって…その後…。
「……っ!」
ウキウキしなが歩いてたら、あかりの姿が見えた。
(なんで、あかりが、ここにいるんだ?)
あかりは、オレが女装して生活してることを知ってるけど、住んでる場所は知らない筈なのに。
アキラがオレが女装してることを知ってることを、あかりに知られたら面倒なことになる。
オレはアキラの手を引いて、あかりに見えない所まで移動した。
「どうしたんだ?」
「あかりがいた」
「えっ?」
「こっちから回って、先に部屋に帰っててくれ」
「大丈夫なのか?」
「ああ…。夕飯頼むな」
あかりにアキラが見つかってないのを堪忍しながら、アキラを見送った後、あかりの前に出た。
「ヒカル…」
「なんで、ここにいるんだよ」
あかりを思わず睨んでしまう。
「おばさんに聞いて来たの」
お袋…あかりを気に入ってるのは知ってるけど、何でベラベラ喋るんだよ。
もし、あかりと居る所を見られてオレの正体バレたりしたら…って、もしかしてそれが狙いなのか?
「そんな格好までしてプロになりたいの」
「ああ…」
なんか…あかりの顔から哀れんでるような感じを受けるな。
オレが親の条件飲んだ時も反対してたけど、まだ諦めてなかったのか。
幼馴染みが夢のためとはいえ、女装してるのはショックなんだろうな。
「碁はプロにならなくても打てるじゃない」
「そうだな」
「なら」
「それでもオレはプロになる。オレが目指してる碁はプロにならないと打てないからな」
「そうまでして、塔矢さんといたいの?」
アキラと一緒に居たいのも理由の1つだけど、佐為か目指した神の一手を極めってのが、プロを目指す1番の理由だ。
佐為のことをアキラに話した時に、2人で神の一手を極めようと決めた。
そのためにはライバルのアキラとプロの世界で切磋琢磨するのが良いと思って、プロになると決めたんだけど、それからが大変で…まさか、女装する羽目になるとは。
「オレの気持ちは変わらない。絶対この条件をクリアしてプロになる」
「ヒカル…」
あかりが悲しそうな顔をしてたみたいだけど、オレは早くアキラの元へ行きたくて仕方なかった。
(そろそろ晩飯出来たかな?)
アキラの手料理を想像しながら、オレは部屋に向かった。