「………」
「塔矢さんとどうやったら仲良くなれるの?」
「私も仲良くなりたいけど、なんだか近付き辛くて…」
「近衛さんと塔矢さんて昔馴染みななの?」
昨日、アキラが急にオレを屋上に連れて行ったりするから、オレは今囲碁部の人達に質問攻めに会う羽目になった。
原因を作った本人は、イベントの仕事があるとかで、学校休んで出掛けてる。
出席日数とか大丈夫なのか?
まあ、オレと違ってアキラは、留年の危機なんかとは無縁だろうな。
羨ましい。
それにしても、アキラのヤキモチ可愛かったな…。
あんな可愛い所が見れるなら、こんな格好してる甲斐あるよな~~。
あと、 準備に手一杯でアキラを構えなかったことが、ヤキモチや可愛さ増しの原因になってるのかも。
「ヒカルが心配だから仕事をセーブする」
仕事大好きなアキラに、そこまで言わせるオレって愛されてるよな~。
心配そうな顔して仕事に行くアキラが可愛くてさ~。
あと、アキラの料理美味いし、掃除も洗濯も完璧だし、そんでもって可愛いし…良い奥さんになりそう。
あっ、思い出して惚気てる場合じゃない。
この人達を大人しくさせないと。
こうなったら、あのネタを使うか。
「実は小さい頃、同じ幼稚園だったことがあって…」
「元々、知り合いだったんだ…」
「それじゃ仲が良くても可笑しくないね」
幼稚園で一緒だった…っていう設定も明子さんが考えてくれた。
「知り合いだったことにしておけば、一緒にいても不思議に思われないでしょう」
近衛光の設定を色々考えてくれて助かったよ。
けっこう楽しんで考えてくれるんだよな…明子さん。
…って、考えてたら信じられない言葉が聞こえた。
「近衛さん、超オレの好みなんだよな。オレと付き合わない?」
「えっ?」
オレの頭フリーズ!
ちょちょっと待て!
オレには男に惚れる趣味はないぞ!
何があっても、アキラ一筋だ!
「あ~~~塔矢アキラに告りたい」
「告っても玉砕さだろ」
「棋力からして目にも止めてもらえないって」
「だよな…」
おおおおいっ!ちょっと待て!誰だ今聞き捨てならないこと言ったのは!
アキラはオレのもの!
誰にも渡さないからな!
これは、虫除けちゃんとしないとな。
アキラがオレを振るなんて、考えられないけど念のためだ。
この後も、アキラに告りたいだの…オレが好みだの…男どもの話は続いた。
本人を目の前に良く言えるな。
海王高校の囲碁部の男どもは、こんなに軽いのかよ。
アキラがモテることが、改めて良く解った。
あ~~~イライラする!
(我慢だ…我慢だ…オレ)
色々言いたいことはあるけど、今はプロになるために、アキラと一緒にいるために今は我慢…我慢。
アキラに告りたいとか言ったヤツ!思ってるヤツもいるかもしれないけどな!1年後、アキラの彼氏として堂々と、お前等の前に出てやるから楽しみにしてろよ!