数日前、僕ののクラスにに金髪の女性が転校して来て大騒ぎになった。
「うわ~~~噂の金髪美女!」
「近衛さんって碁打つの?」
「マジで可愛い!!」
そのクラスメイト近衛光さんが、囲碁部に現れて、ここでも大騒ぎだ。
「顧問の先生は出張でいないよ。入部希望者かな?」
「はい」
囲碁部の部長が応対している。
近衛さん碁を打つんだな。
「塔矢さん棋力見てくれないかな」
「はい」
顧問の先生がいなくて、僕も仕事がない時は囲碁部を見ることになっているから、棋力の判定も僕の役目なんだ。
「じゃあ、打とうか。棋力はどれくらい?」
「たぶん互で大丈夫だと思います」
ニギって僕が黒で近衛さんが白になった。
「「お願いします!」」
……………………
…………………
………………
……………
…………
………
10手も打てば相手の実力は解る。
…という場合ではない。
「…………っ!」
間違いない。
この棋風はヒカルだ。
そう確信してヒカルを見ると、どや顔で笑っていた。
「ししししし…」
「あ~~~~~っ!失礼しますっ!塔矢さんお借りします」
対局途中だということを忘れて叫びかけた僕の腕を引っ張って、部室を飛び出したヒカルは、屋上まで僕を連れてきた。
「ここなら大丈夫だう」
「ヒカル!どうしてそんな格好でここにいる?説明しろ!」
ヒカルの胸ぐらを掴む勢いで迫る。
「アアキラ解ったから…とりあえず落ち着け」
そんなこと言われても無理だ。
だって……。
「この半年、君と会えなくて連絡つかなくて、どれだけ心配したと思ってるんだっ!!」
どんどん涙が溢れて来るけど、泣くのも許されると思う。
「悪かった…もう泣くなよ…」
ヒカルが僕の背中を指すってくれる。
そして、僕が落ち着いた所で訳を話してくれたのだけど…もう驚愕しかなかったよ。
「はあああ~っ!女として1年間過ごせたら、プロ試験を受けて良いって…」
なんた?それは!
「ふざけるな~~~っっ!!」
思わず叫んでも許されると思う。
「叫びたい気持ちは解るしバカみたいな話だけど、オレの親本気だから」
そういえば、ヒカルのご両親、碁にアレルギーがあるみたいでヒカルを碁から遠ざけたいらしい…と話してくれたような…。
「この条件なら諦めると思ったんだろうけど、協力者がいてさ。条件を飲むっていった時の親の顔面白かったな…」
…笑ってる場合か。
1年も女性として過ごすなんて無茶だよ。
「プロになる為に1年頑張るから、これから海王高校の同級生としてよろしく」
僕の心配を他所に、ヒカルはやる気みたいで…大丈夫なんだろうか。
でも…。
よく考えたら…。
これから1年ヒカルと毎日会えるんだよね。
嬉しいことじゃないか。
ヒカルが無事にプロ試験受けられるように、僕も精一杯協力しよう。