気が付くと僕は知らない場所にいた。
「塔矢!」
「えっ?」
呼ばれて振り向くと知らない人が立っていた。
(あれ平安貴族の衣装だよね?)
教科書で見たことある。
「あ〜〜〜塔矢ともあろう者がボーッと歩いていてトラックにはねられるなんて…」
そう言って、知らない人はオイオイと泣いている。
(トラック…?)
思い出した。
今日の対局に疲れたのと負けた悔しさでボーッとしていて、トラックのヘッドライトに気付いて……。
そこからの記憶がない。
(もしかして?ここってあの世?)
なんとなくそんなに気がした。
「貴方はヒカルと共に神の一手を極めてもらわないといけないというのに!あ~~こんな早くここに来てしまうなんて…予想外ですよ!まあ、ちゃんと向こうに戻ってもらいますけどね。というか戻ってヒカルとくっついてもらわないと、私の転生がなくなっちゃうんですよ」
さっきは泣いていた人は今度は叫んでいる。
「ヒカルとくっつく?」
…って何?
「あっ、それは聞かなかったことにしてください〜〜」
叫んでいると思ったら今度は慌ててる。
忙しい人だな。
何か…凄く…テンション高い。
正直、ちょっと苦手かもタイプかも。
………ん?
そういえばヒカルって。
もしかして進藤のこと?
何となくそんな気がしたから尋ねてみた。
「あのさっきから言ってるヒカルって、もしかして進藤ヒカルのこてですか?」
「ええ、そうですよ」
笑顔で答えてくれたけど、こんな格好した人と進藤が知り合いなのか?
「進藤と貴方はどんな関係なんですか?」
接点がが全く想像でない。
「私とヒカルの関係ですか?ヒカルは塔矢にはまだ話してなようですけど、ここで会ったのも何かの縁、ヒカルに怒られてしまうかもしれませんけど。まあ、私はもうヒカルと離せませんし……。なかなか話さないヒカルか悪いんです」
そういってコホンと先払いをした後、とんでもないことを言い出した。
「私は平安時代の碁打ちで幽霊になって1000年現世彷徨い本因坊秀策として碁を打ち、ヒカルにとり憑いた藤原佐為で~す♪」
は………………………?
「ふざけるな~~~~」
思わず叫んでしまったけど許されると思う。
