初恋 04
(ヒカルサイド)

今日もスマイル全開でバイト中。

「いらっ……」
「見つけたぞっ!進藤ヒカル」
「えっ?」

と塔矢アキラ…。
ななんで、ここに?

「進藤ヒカル、今から打とう」

塔矢さん…オレをカウンターから引っ張り出す感じの勢いで、肩を引っ張ってくる。

ちょちょっと待ってよ!

「バイト中なんだから無理に決まってるだろ」
「それなら終わるで待ってる」
「あと5時間は終わらないですよ」
「平気だ」

マジ…?
持ち時間5時間の対局があるから慣れてるのか?
…って、そんなことはともかくホントに待つ気かよ。
だも、まあ、待てなくて諦めて帰るよな。

と思ってたんだけどさ……

………………………
……………………
…………………
………………
……………
…………
………
……

バイトが終わるまで塔矢さんは、帰らず店の前でオレを待っていた。

マジかよ…。
ゲンナリしてしまうオレ。

「さあ、打とう」
「でもこの時間だと、碁会所に長くは」
「父の碁会所なら大丈夫た」

あ……ソウデスネ。
塔矢先生の碁会所なら大丈夫だよね…。

「わかったよ!打てば良いんだろっ!」
「よしっ行こう」

気持ちでは塔矢さんに引きずられるような感じで、塔矢さんの後ろを歩く。





そして、碁会所に着くなり直ぐ対局を始めた。
佐為に言われて無理矢理打たされたけと、打ってみるとやっぱり楽しいんだよな。
今までは、佐為とじーちゃんと打つことが多かったから、実力がほぼ同格の塔矢さんと打つのは楽しくてワクワクする。

「…………」
「~~~~~~っっっ!!」

…と思いながら、打ってたら………また勝っちゃったよ~~。

(……塔矢さんの気迫が怖い)

オレのバカッ!これ以上燃え上がられてどうするんだよ~~。

「どうして、君はプロにならないだ?」
「面倒だから」
「なんだ?それは!」

うわ~~そんな怖い顔して怒鳴らなくても…。

「だってオレの親、碁を全く知らないせいかプロになるの反対だったし、説得してまでなろうと思わなかったし」

説得するのが面倒臭かったし…。

「勿体ない!プロ並みに打てるのに」
「そう言ってもらえるのは嬉しいけど、オレはプロにはならないから」

塔矢さんと打つのも楽しかったけど、佐為と打ってるだけで楽しいしな。

「僕は諦めない!絶対君に『プロになる』と言わせてみせる!」

凄い迫力で宣言する塔矢さん。

「…………」

塔矢さんって見た目と中身が全然違う~~!!
詐欺だ~~。


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