「どうして皆、寄ってたかって「子供はまだか?」っていうんだっっ!!」
オレの愛しの奥様、ストレス全開、我慢の遂にぶちギレました。
えっ?日本語可笑しい気がするって?
そんなことは気にしない。
アキラが、それぐらいキレてて限界ってこと。
「とりあえず、落ち着け…な?」
「うん…」
オレがアキラの頭を撫でると、アキラが身体を刷り寄せてくる。
(…これは、年に1、2回あるかないかの甘えモードじゃん!)
普段のアキラはとても強い女だけど、ストレスが溜まって限界を超えると、オレに甘えてくる。
普段はスキンシップを好まないから、最初は驚いたけど、今はオレだけの役得だと思って喜んで、ここぞとばかりに乗っかってる。
子作りのOKは貰ってないから、その辺は気をつけて。
それにしても、いつ振りだろ。
(明子さん側と親戚に「子供はまだか」って、集中攻撃されたのが堪えたか)
結婚して3年を過ぎた頃から後援会や囲碁関係者に言われ始めて、それはアキラ得意の営業スマイルでかわしるんだけど、今回は明子さんの身内の集まりで集中攻撃されてせいで大爆笑したみたいだ。
「ヒカルも子供が欲しい?」
「アキラのOKが出るまで待つよ」
本音をぶっちゃけると欲しく無い訳じゃないけど、真剣に碁に向き合ってるアキラも好きだから、子供はいつでも良いと思ってるし、最悪作らなくても良いかな…なんて。
ずっと、2人でラブラブしながら神の一手を目指すのも良いかもと思ってる。
「でもお義母さん達は…?」
「アキラがオレの嫁になっただけでも奇跡だから、これ以上は望まないって言ってるって、前にも言ったろ」
「そうだけど…」
「お袋、お前の大ファンだしな。お前か勝つとメチャクチャ喜ぶし」
オレの勝敗には反応が薄いくせに、アキラの勝敗には一喜一憂してる、
オレとの対局のときは、アキラを全力応援。
たまに飯が出てこないって親父が言ってたな…。
アキラとお袋の仲が良いのは嬉しいけど、何か腹が立つ。
「ヒカル、しよ」
アキラにされるがままに押し倒される時のオレの心は…。
(ヤッターーーーーッッッ!!
キターーーーーッッッ!!)
アキラから押し倒されるなんて、滅多にないもんな。
しかも満足するまで離してくれないし。
ここぞとばかりに張り切るオレ。
その甲斐あって、翌日にはいつものアキラに戻った。
数ヶ月後、なんと!アキラの妊娠が発覚!
久し振りの甘えるモードに舞い上がってから、ちょっと気が緩ん失敗したかな。
ハハハハハ…。
「僕も欲しくなかった訳じゃないし…なんとかなるよ。これで、暫くは静かになるだろうし」
怒られることを覚悟してたけど、嬉しそうに笑うアキラにホッとした。
対局とかに影響が出ないように、オレも出来る限り協力するからな!