「よし、間違いなし!」
「何回、確認したら気が済むんだ?」
「何回でも!」
「あ、そう…」
オレは今、明日役所に出す婚姻届に間違いないか確認中。
オレとアキラは明日入籍する。
ここまでの道のりは、ほんとーーーーーーに長かった…。
特に、アキラにライバルと認めてもらってから彼氏の座を射止めるまでが更に長かった…。
塔矢先生や明子さんは認めてるのに、アキラが中々認めてくれなくて……ホント苦労したよ…。
傍からは明らかに付き合ってるとしか見れないのに、付き合ってませんって態度だったからな。
だから、アキラと結婚することが夢みたいでさ…。
婚姻届を何回も確認してしまうオレの気持ちを解かってくれ!
夫婦になる前から躓きたくない!!
ちなみに、婚姻届確認10回目。
あっ、携帯鳴ってる。
着信者を見て着信ボタンを押しながら、オレは携帯を耳から遠ざけた。
「しんどーーっっっ!!俺は認めないぞっっっ!!!」
緒方さんの怒鳴り声が携帯から響く。
毎度のこととはいえ携帯放しといて良かった…。
携帯の向こうから、いい加減にしてください!!…って言う芦原さんの声がする。
向こうからガヤガヤ聴こえてくる所から察すると、芦原さんが緒方さんから携帯を取り上げようとしてる?
…………
完全に酔ってるな…緒方さん。
また葦原さんが面倒見てるんだ。
今度、お礼しないとな。
とか考えてる間に芦原さんが緒方さんから携帯を奪い取ったみたい。
「ごめんね…。進藤君」
「いえ、こっちこそご迷惑かけてすみません」
「良いんだよ。アキラ君の結婚を認めない緒方さんが大人げないだし、君達の邪魔をしないようにこれからも監視させてもらうよ。これも可愛いアキラの幸せの為さ」
「有難うございます。芦原さん」
誰が大人げないだと!…って管を巻く緒方さんの声が聞こえるんですけど……。
オレとアキラが結婚するための1番の障害は、この人だったかもしれない……。
付き合い始めた頃は何も無かったんだけど、オレのマンションにアキラが泊まるようになってから、アキラとの交際を認めたくないらしく、アンタはアキラの小舅ですか?…って突っ込みたいぐらい…実際小舅みたいなもんか?…オレへ対する嫌がらせが始まった。
オレとアキラの交際が反対なら何で始めた頃は大人しかったんだ?…と不思議に思ってたら、盛大な喧嘩が絶えないから直ぐ別れると思ってたのにアキラが泊まるようなって急に焦り始めた…と、芦原さんが教えてくれた。
更にアキラが小さい時に緒方さんに言った…
大きくなったら緒方さんのお嫁さんになる!
…を本気で信じてたらしい。
アキラ本人は、そんなこと言ったっけ?…って感じで覚えてない。
ちょっと可哀想かな?
てか、本気でアキラを奥さんにしたいなら、彼女とっかえひっかえは止めた方が良かったと思う。
アキラ、ああいうのダメな感じだしな。
「また緒方さん?」
「ああ、まだ諦めてないな。お前があんなこと言いうから…」
「そう言われても覚えてないものはしょうがないじゃないか」
「そうだよな…」
そうなんだけど…まだ緒方さんは諦めてくれそうにない…。
でも、アキラがオレと結婚するのは事実なし諦めてもらうためにも、アキラと幸せな家庭を築こう!!
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「いい加減、諦めてくださいよ」
「いや、諦めん!あんなツートン頭のチャラチャラした奴にアキラはやれん」
「それ塔矢先生のセリフでしょ。緒方さんが言ってどうするんです?というか…緒方さんが進藤君のことチャラいって言える立場ですか!緒 方さんも見方によってはチャラいですよ…」
「何があっても、絶対!認めんっっっ!!!」
「これはアキラに三下り半突きつけられるのも時間の問題かな」