両親からのお見合い攻撃にウンザリして、憂さ晴らしに居酒屋で飲んでいた時…。
「アキラ〜〜っ!好きだ〜〜」
「えっ?」
自分が呼ばれたかと思って振り返ったら、金髪と黒髪の珍しいツートンカラー髪の男がいて、それが進藤ヒカルとの出会い。
(「な」と「ら」を聞き間違えるなんて、私もちょっと酔ってたのかもね)
その日はヤケ酒?を飲んでるヒカルをチラチラ見ながら過ごしたけと、それからちょくちょく居酒屋で見かけて、私から話しかけて色々話すようになったんだ。
塔矢さんの情報を知りたかったし。
ビジネスにリサーチは必須よ。
いつか私が展開するブランドでモデルのオファーをするのが夢だから、塔矢さんのことは調べてたけど、あくまでニュースやインタビュー記事からの情報だけだから、ヒカルと話せば世間が知らない情報が手に入ると思って。
(実際、他人のプライベートをベラベラ話さないわよね…)
まあ、私の考えは甘かったけど、酔ったヒカルはどれだけ塔矢さんが好きなのか…どれだけ塔矢さんが素敵な女性なのか、お見合い話が出る度にヒヤヒヤしてるとか、止まることなく話続けてる。
で、塔矢さんにお見合いの話が来る度に、こうやってヤケ酒飲んでるそうな。
そして、遂にヒカル自身にもお見合い話が出てるから
「そんなに好きなら告白したら?」
「ムリ!振られたら立ち直れない…」
「あっ、そ…」
情けない…。
こんな話を何度かした後、私はふと思うようになったんだ。
塔矢さんしか女として目に入ってないヒカルとなら一緒に暮らせるんじゃないかと。
私は極度の男嫌いなんだ。
子供を産むどころか結婚すら考えられない。
でも両親からは「早く結婚しろ」って煩い。
だからヒカルに提案してみた。
もちろん男嫌いでそういうことは嫌いなことも話した上で。
最初は迷ってたみたいだけど「塔矢のことを諦められるかもしれない」と、提案に乗ってくれた。
結婚式も披露宴もやりたく無かったけど、ヒカルも有名人だし両親がノリノリだったからやるしかなかった。
披露宴の時、塔矢さんに凄い睨まれたんだけど。
と思ったら、ヒカルを見つめて悲しそうにしてるし…。
なんだ。塔矢さんもヒカルのことが好きなんだ。
女の勘ってヤツ。
(両想いじゃないの)
もし2人が契約結婚中にくっついたら、喜んで契約破棄してあげよう。
…と決めてたんだけど、10年間そんな気配は全くなくて契約期間終了。
ヒカルも塔矢さんも真面目なんだよ。
「ウジウジしてないで、さっさと告白しちゃいなさいよ。当たって砕けろよ」
契約最後の日、ヒカルに言ってやった。
●〇●〇●〇 ●〇●〇●〇●〇
1年後、ヒカルと塔矢さんの結婚が発表された。
テレビで知った私は自分のことのように嬉しくなって…。
「おめでとう」
ってLINEしたら、凄く派手なスタンプが返ってきてほっこりした気持ちになった。
私も早く塔矢さんにオファー出来るように頑張らかないとね。