「大きくなったら、ヒカル君のお嫁さんになる!」
「おれも大きくなったら.アキラちゃんをお嫁さんにする!」
なんて言ってたことを、目の前にいる塔矢アキラさんは覚えてくれているんだろうか?
(覚えてる訳ないよな…)
5才ぐらいの時、珍しく夏休みに1週間別荘に行ったんだけど、隣の別荘に居たのが塔矢だったんだ。
それで、オレと塔矢はすぐに仲良くなって1週間ずっと一緒で、最後の日に約束したのが「お嫁さん」だったりする。
あの時、オレは間違いなく塔矢に一目惚れした!
また5才だったけどら塔矢に以上に好きになる女の子なんて現れない!って思ったね。
だから、碁会所で再会した時はビックリしたよ。
約束のことなんて、全く覚えてない感じの扱いで、かなり落ち込んだけどな。
「進藤、これ…」
塔矢がオレの前に出してきたものは…えっ?なに?婚姻届?
「えっ?なんで?」
オレ達、付き合いってなかったよな?
なんで?こんな物が出てくるんだ?
「大きくなったら君のお嫁さんになるって約束しただろ…」
塔矢が照れてる…かわいいな…もう!!
ていうか…
「覚えてたのか?」
「当たり前だろ。僕にとって忘れられない1週間だったんだから…」
あの1週間が忘れられないのは、オレだけじゃなくて塔矢もだったんだ。
「覚えてるなら言ってくれれば良かったのに…。覚えてないんじゃないかと思って、どれだけ不安だったか」
「僕もだよ…。ずっと約束の話なんて出ないし…もう約束のことなんか忘れてるんじゃないかと思って不安だった…」
碁会所での再会の時からずっと、お互いに覚えてるかどうか不安だったって訳か。
「せっかくだし、これ出すか」
「えっ?」
「塔矢、結婚しよう!」
「うんっ!」
そんな訳で、お付き合い期間なして結婚することになったオレ達でした…。